探偵は作家を振り回す

応募作品

乙野二郎

エセー

1,204文字

名探偵破滅派「メインテーマは殺人」の推理です。

犯人は、ロバート・コーンウォリス。

ダイアナ・クーパー(以下、クーパー夫人)はアラン・ゴドウィンに訪問された上、脅迫状を受け取っていた。

事件の前日には飼い猫が姿を消している。実際には留守の隣の家に入り込んでいただけだったが、脅迫状の文言に沿うことが起きてしまいクーパー夫人は狼狽して、掃除婦のアンドレアにも次の日には来ないように言う始末だった。

事件当日、死を覚悟したクーパー夫人は身辺整理をすることにし、葬儀社を訪問して自分の葬儀を手配し、劇場の理事をその場で辞任している。

葬儀社にいたロバート・コーンウォリスは、RADAでダミアン・クーパーの同期生だったダン・ロバーツであった。本名でなくてよいのはアマンダ・リーの例のとおりである。

しかもアマンダ・リーが登場人物表に載っているのに同じような立場のダン・ロバーツの名はないのはダン・ロバーツ=ロバート・コーンウォリスということを示している。

ロバート・コーンウォリスは大学を出て別の道を歩んでから葬儀社に戻っており、経歴とも合致する。

ロバート・コーンウォリスはダミアンのことを妬んでいた。本来自分がやるはずだった役でダミアンは注目を浴び、その後、大出世し、一方の自分は夢やぶれているからだ。

自らの葬儀社にクーパー夫人が依頼しに来たことから今回の犯行を企んだ。クーパー夫人を殺害し、ロサンゼルスにいるダミアンを葬儀のために帰国させ殺害に及ぶのだ。

その日の午後5時すぎにクーパー夫人に電話し(通話記録あり)、打ち合わせと称して訪問の約束をとる。自宅に訪問して、隙をみて殺害する。絞め殺す体力、被害者の油断を誘える立場がそろっている。

クーパー夫人の葬儀には出席しない。ダン・ロバーツである彼がダミアンと顔を合わせるわけにはいかないからだ。ダミアンの番組をよく見ていて芝居を見に行ったこともある(バーバラ談)のに、ダミアンとは全然話をしていないのもそのせいである。

棺に目覚まし時計を入れることができたのも彼くらいしかいない。目を離した隙が3,4分程度あったとするが、その間に第三者が入れるのは現実的でないだろう。

予定通り、ダミアンが一人自宅に帰ったところに、クーパー夫人の家から盗んでおいた鍵で侵入し、ダミアンを殺害した。相当憎んでいた者の犯行と推測されていたが、ダミアンに対する激しい嫉妬があったのだ。

過去の交通事故に関しては中盤で解明された以上の真相はないだろう。アマンダ・リーの失踪や元判事宅への放火に彼が関係するかはわからなかったが、核となる殺人事件2件の動機と棺に目覚まし時計を入れることが出来た人物から考えるとロバート・コーンウォリスが犯人にふさわしい。

最後に小ネタだが、葬儀社にハムレットからの引用文が置いてあったり、彼の描写で「誰もが描く葬儀屋像にぴったり当てはまる、そのまま舞台で演じることさえできそうな人物」とあったりするのも彼の正体を暗示している。

2021年6月6日公開

© 2021 乙野二郎

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