ドラえもんは泣いた。
両手の中でのび太が死んだ。
思い出がいっぱいつまった四次元ポケットを捨てた。
それからドラえもんの孤独は始まった。
来る日も来る日も泣いてのたうちまわって、ドラ焼きも喉を通らず、ただ、夢を見た。
しかし、どの空想ものび太の空白を埋める役目は果たせなかった。
のび太は戻ってこない。
そう確信した時、ドラえもんの中で何かが割れた。
そうだ、僕が大人になったらいいんだ。
「大人になればのび太くんは忘れれる」
そう思い立ったドラえもんは、思い切って、心を失うための合言葉を言った。実は、ドラえもんの首の鈴は、ロボットの機能を初期化する役目があるんだ。
ドラえもんは、ドラえもんとして誕生した。
これからもドラえもんは、ドラえもんでしかなく、ドラえもんとして生きていく。
ドラえもんはロボットだから死ねない。
「ただ、ロボットだから忘れれる」
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