横浜市営地下鉄グリーンラインが開通1週間前となった。

旧来の〈センター北〉・〈センター南〉両駅を経由して、〈日吉〉~〈中山〉間を繋ぐ。

人口数を着実に伸ばしている都筑区の計画都市、公称「港北ニュータウン」の住民の足として、きっと活躍してくれることだろう。

「港北ニュータウン」の現状は、既存の地下鉄ブルーラインで〈横浜〉から〈あざみ野〉方面行きに乗ればそれなりに垣間見ることができる。

例えば年齢層。〈新横浜〉辺りから乗降者の年齢層が変わる。南区・西区辺りをうろつく人と港北区・都筑区辺りの人間はフレッシュさにおいて大分異なる。ニュータウンに近づくほど、若い母親と乳母車で眠る赤ん坊とに遭遇する。

そして、〈北新横浜〉から電車は地上に出るのだが、そこからの車窓風景は箱型建築物の陳列ショーといった風情である。〈センター南〉に近づくと、箱の種類が変わる。つまりマンション箱からショッピングセンター箱に――。などと考えながら眺めていると、流れ去る風景の中の建築途中のショッピングセンターに被さった覆いの中に、とび職の人の姿が透けて見えた。

 

日の目を見ることの無い2年前の残念な自著「横浜市営地下鉄」は32の章立てになっている。

「32」ってのはブルーラインの駅数である。1章が〈湘南台〉で32章が〈あざみ野〉。

電車が地上を走るときは地上の車窓風景、地下を走るときにはトンネル内の風景(主にトンネル内の形状及び後方へ飛び去る蛍光灯)を書き連ねつつ、特色のある街の様子(〈下飯田〉辺りの田園、〈関内〉周辺の繁華街、〈横浜〉の賑わい、〈センター北〉の観覧車)も織り交ぜつつ、青春物語も併走する作りである。

えらい張り切って書いたのだが、構想を実現するだけの腕がなく、手に負えなかった。いつかもう一度書き直してみたいと思っている。

 

その矢先のグリーンライン開通。

 

ブルーラインの青春小説を書き直す暁には、スピンオフとしてグリーンラインの緑春小説も書かないと。

 

などと言いつつも、実は市営地下鉄より京急の方がずっと好きです。

 

手嶋淳