神と共に生き、神と共に歩む。
いや、ぼくはただ救われたいだけなのだ。
手を伸ばした先に神はいらっしゃるのに、ぼくが触れることができるのは空虚と無数の白いフアフアした羽虫ばかり。
羽虫はぼくの腕に触れて皆死に、死骸はぼくの足元に小汚く降り積もる。
フト、ぼくの手に手が重ねられた。それは一つも温もりを感じず、しかしとても心地よい滑らかなものであった。
重ねられた手が再び離れるとぼくの手にはイチジクが一つ乗せられていた。
これは……ぼくは神に選ばれたのだ!
与えられたイチジクを僕は頬張ろうと口を近づけた。
しかし、それはたちまち小さくそして黒くしぼみ、遂には異臭を放った。
戸惑ったぼくは神の顔を見た。
神は微笑んでいた。
その微笑みは……とてもオトウトに似ていて…………息が漏れた。
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