コウイカのような顔をした男。ゴライアスガエルの濃い香り……。ようやくたどり着いた丸太だらけの丘と将校のような顔つきの人間たち……。歴代の圧死事件に関与しているらしいコートの女。「民兵の少年と水を飲むことを知らない一匹の山羊」すると向かいの女が自分のコートを開き、露出した陰茎を握って精液をこちらに吹き掛けてくる。「やめてくれ! やめてくれ!」流暢な麺類の創始者。看板の兄弟……。お笑い会場に要件を伝えるための日報直進や部下と警部たち。おれは丘の上ののこぎりで人間の解体を始める……。消耗品の女と蜥蜴のような顔つきの風船職人。『消耗品』だろ? 蝋燭食らいのでぶ……。空き缶から出てきた百足と観察顔だけの女カメラマン……。
「そして、『懐中時計』と孤児たち、か……」と叫んでいるキャタピラー・ガーゴイルの群れ……。おれは街を歩いてから発見された魚のような焼酎とドラック・ストア……。「大腸から隊長……」割り箸を啜っている黄土色の教師。
「酒は?」
「焼酎は水だろ?」
「いいえ! いいえ! いいえ!」と繰り返しながらブリッジをする……。
若旦那との行進……。後方支援の味方たち……。外国との通信で得られた事柄や、焼き鳥の香りで誘われた女中の末路と廊下に佇む固定概念たち。
「一番小さいヤツで頼む……」
「あいよ!」
そして三秒後には小包が置かれる。おれは店主の太った腹を見つめながら受けとり、自分のコートの内ポケットに収納して店を去る。
『あきらめる』ことを知らない男たち……。おれは彼らの水泳の授業に対してひときわ強い硬度を持つ鉱石と机を持参してからお邪魔をして、指導という名の虐待を楽しむ……。彼らは結婚したばかりの主婦のような声で水槽に浮かび、おれの尻を狙って槍を飛ばしてくる。おれは彼らの精液を軽く回避してから、店主の『お手製』を手のひらの上で広げる。
「なんだこれ?」
藁の包みを開き、中から出てきた白い砂糖のような粉末を鼻で吸う。すると一気に視界がぐにゃりと曲がり、音が何重にも反響して聞こえてくる。おれに迫って来る頭だけがシャチの奇抜で筋骨隆々な水泳の選手たちがどこまでも巨大に見える。彼らの槍が鉛筆に変動しておれの陰茎に降る……。
「やめてくれ! おれは美味しくない!」
すぐにシャチの鋭い牙が身体を刺す。おれは自分の臓器が破裂していくのを感じながら絶命の色と暖かみを感じる……。
『脳』と脳が収束して吸い込まれていく感触……。「おれは暗闇の中で足から溶けていき、やがて水泳のような滑らかで色の無い空間に佇む……」
「それからおれは童話のような世界で動物病院に向かったんだ」
「そうなんだね」
「おっと。もうオヤツの時間か! さっさと帰ってくれないかな?」
「お暇するかね」
そして用心棒の黄色いアフロ・ダニルは帰っていった。彼は唯一の妹のために徹夜で鉄パイプを折り曲げるバイトをしているはずだった。おれは彼の右手のこぶに視線を合わせてから、調理室の棚の中の粉の残りを思い出してシャンパンを開けた。
公園の中心にミサイルが降り注ぐ。ここではコップの中ですら戦場だ……。おれは重火器を持ったガーゴイル・ダニルの死骸から百足をつまみ出して自分に与えられた役割というやつを証明するために軍服を着る夕暮れ……。
「心配御無用だ」
「ゴム用? なにが?」
おお……。ショットガン・ダニルが珍しく銃弾を受けて死んでいるぞ……。おれもすぐに短機関銃の専門的な技術でそちらにいくぞ……。
「無理やり肉を裂いたのか? それとも洞窟?」
「レーション・ダニル……」おれは自分のシャチのように変形した牙でクッキー工場を砕いて飲み込む。
おれは階段の一番下で通り魔を展開している男の尻に山羊を見出して駆けていく……。山羊の死骸で作られた丘の天辺で穴を掘り始める。夕暮れと毛並みの統一感……。
「ツルハシはいるかい?」
「ダイアモンド・ダイヤがほしい」
おれは問いかけてくる主婦に小銭を渡し、二度とその素手にスコップが持てないように細工する……。「まあ! これじゃあ一生土をいただけないわ!」
「さようなら……」
おれは石だけを掘っている男のことを架空の脳の中で生み出し続けながら見た目の悪い宗教団体に原稿を渡す。
「今月分だ……。受け取れ」
「いつもすみませんね……。ははは……」とはにかむ男は取り出した原稿を舌の上に乗せ、味わいながら計画通りの咀嚼をする。
減給と整備された土地による講義……。公衆電話の冷たさが黄色い茸の博士に降り注ぐ。「アットホーム!
おれは叫んでいるクラッカー・少年にアイスを渡す。「僕はチョコレート・ウンチ症候群じゃないから」地質調査と結婚のための鍵を放出する山羊の頭部の水泳選手……。
「君はどこから来たんだい?」
「ゴート・ヘブン……」それからバタフライの泳法で二十五メートルを渡りきる。
巨人たちが足踏みをしながら都会を舐めているぞ……。学術的な山羊たちによる貴重品照明界隈。「しっかり休息しなさい……。そして子宮に帰りなさい……」と母体の山羊が問いかけてきている。おれは自分の四肢がそれぞれ山羊になったつもりで代替の引っ掛け帽子を舐める。すると巨人の血が流れ、倒れると同時に腹が突き刺す痛みに震える。
「悪い……。おれは寒いのが駄目なんだ……」
「そうかい……」おれは上下の歯列をカチカチと震わせている妹の拳に百足を貼り付けてから、右手のココア
気に飲み干し、統合失調症のような緩やかなゲップをし、はげている彼の頭に左手の山羊の新品の唾液を注ぐ。すると天井が開き、河童のような音が鳴り、散弾銃がダニルの形を作り、彼が後方に倒れてから室内の気温が変動し、棘のように発展している山岳地帯で焼肉を開始する……。「軍事機密なんですよ? どうしてトイレットペーパーがあるんですか? それとも夕餉? あるいは消火器ですか?」
「あなたは漫画を描きますか?」
「はい」
「では消耗品の万年筆があるでしょう? 百足を連れてきなさい」
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