期待外れにも所持している体躯は永久に若々しく、蛤の殻を積み上げて、浜辺に打ち上げられた。ほんのささいなオケージョナル・ドレス、銀杏の季節の後ろ姿ばかりを見送っている。運悪く雨に心つくし、幸いにのまれるなら。境に圧する銀糸のあちこちを、滑らかに吹くことを憶える。
晴れ間に沈んだ色調に熟れ弾かれたように起き上がり、踵を返す黒い点がいるが。細やかな折り目節目のあたたかな存在を楽に置かず、御覧、数を減らした荷車に乗りやがる。
拾い物の坂を懐かしがる。
肌は露出しては震えている出鱈目な発音で、はっきりとした脈が腐臭を漂わせ、罰するようなわがままをくるくると動かす。早すぎる死が、ふてくされた浪漫を誂えた美少女の、てのうちの駒であろうと風車であろうと。独り置き去りにされたまま、むしゃくしゃして、盤面に貪り食う、妄動のネオンに掴まり鎮まり。
――これもまた穏便な調教の賜りで、
ゆるく蕾に浮かぶ露のことを白日の脳裏に刈り込ませる、外因は失われたものを。照れくさくも狭い下に曝す コマネズミに足を取られる。従わせるかぜは、畳みかけ、「わたくしを、古狸とする理由を象徴するのよ。」
視野狭窄の逆上
痛ましい爪痕に脱脂綿をあて
歯切れの悪い常夜灯の瞬きに
無慈悲な団らんは邪な形で
崩れてもなお、流れの緩い錦を生んだ
歩き通す、駄犬、探し求める仔猫を抱いて
飛び歩く鞠を、握りつぶして、自分は愛をかたる偽善者なり。
素足の裏側は平然とした文学史を数えているが、凪いだ朝は鎧戸を閉め、もみ消された口数に夜は乾草の臍の緒をぴたりと噛み、砂を合わせたような明後日を氷解に。なすがままに、むんずと猿真似の彗星が後を引く、傷んだ喉を韻風が通り抜け修復される言葉を授かります。
「そのふてくされた態度は。黄泉の客であると?」
重たいだけの細工を識る記憶の欠片を、補われることのない心の安らぎを、眼帯で覆い、内庭に対し足をバタつかせる。欠伸と、鐘楼と、空回りする御天道様はただ……希望を潤す不確定の遠視眼と沈黙する。そっと故郷を離れた早春の下心と可視光線、尾を引くような足元を固める闇の中で。
貧弱な花の便りをあれこれひっくり返しては、連れ添いの証拠を抱え込み遺された援助で溺れる。一つめをあわせ、得る教えは傲慢な曇りもなく、天に飛び込んだだけの透明に踊る花々はやっぱりくだらなかろうな。
脾臓で拭いた窓辺こそまた日没後、新しいてのひらで透かし見たすべて。腹を納めたデザインを構える、贈与された瞼のお陰で。阿吽の呼吸を得る、有線のクインテットはまた繰り返し、血止めした雌花には足りない情報を通り名として、
包容されてしまうのだから。
古びた眼鏡のまぶし気なずり下がった物の真ん中の、ヒビの裂け目に踊らせる、沁み出したよな焼け酒の。憚ることもすくなくなく、陶製の磨れた模倣者の、哀傷歌の混在を認めよう。
さあたぎらせただけの無防備に触れてしまえばいい。
其の土筆で草切れの涎を斯く、黄ばんだ紙が翼を動かし
風通しがいいだけの、湧き水に燻りを生き埋めだった
積乱雲は、湿った場所に染み付いた垢になった
硝子の靴を脱いだシンデレラは鏡の肖像の奴隷となり
驚くほど単純な空の中心、遺失物と最果ての聖域にあった。
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