おれもよく知らない。ガイアの法則についておれが知っているのは「世界文明の中心地の法則」だというきわめてざっくりとしたことだけだ。
パトカーのサイレンがうるさすぎて警察に通報しかけたある日、おれは彼女とけんかした。原因はそのガイアの法則。まてまて、引き金としてその形状は奇抜すぎやしないかという指摘はまったくそのとおりだと思う。おれだってガイアの法則がきっかけでけんかするなんて思ってもみなかった。
けんかのいきさつはこう。どうしたはずみか移住しようという話でもりあがり、そこでおれが「淡路島とかどう? 世界文明の中心地になるらしいよ。ガイアの法則とかいうやつで」と発言したところ彼女の顔がくもる。
「純粋にここ住みたいってところないの?」
「純粋に住みたいよ、淡路島」
「ガイアの法則とかいうのがあるから住みたいだけでしょ?」
「純粋におもしろいじゃん。そういうので移住先を決めるのも」
「ないわー。ない」
彼女はつづける。
「それにさっき直島の動画みせるって言ってたのになんで淡路島の動画をみせようとするわけ?」
「直島のことはいったんおいといてさきに淡路島の動画みせるねっておれ言ったよ」
「いや言ってない。直島の話はおわってない」
「言ったけど」
「言ってない」
「言った」
「言ってない」
言った言わない。古来よりそれは男女間のいさかいランキングトップ3に位置する。なんにせよ今回のけんかにより〈ガイアの法則で移住先を決めようとすると彼女の反感をかう法則〉が証明される。
おれと彼女はその日で仲直り(休戦?)した、なんだかんだで。数日前のことなのにどうやって仲直りしたのかその場面は思いだせない。仲直りの場面思いだせないの法則。
おまけ。おれらがけんかしているときリシャはこんな顔をしていたと推測される。
"暴徒の二人男女、もちろん猫も。その6"へのコメント 0件