9月25日

あわいにたゆとう者たちは(第5話)

タカミネ

小説

136文字

                     

人々が言葉を発さない町がある。

やり取りは筆談や手話で行われ、笑う時も泣く時も決して声を上げない。

その町では会話を耳にすることがないのだ。

彼らは生まれた瞬間にひとつ石を与えられ、その中に自らの一生分の音を封じる。

いつか眠りに就いたとき、その石を砕いて音を解き放つのだそうだ。

2020年7月15日公開

作品集『あわいにたゆとう者たちは』第5話 (全19話)

© 2020 タカミネ

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