盛大なアンコールが起こり、ノブミは舞台の上で満面の笑みを浮かべた。
「あたしはついにスターになったのね。18年前、一匹の豚にあたし自身のお尻を半分ほど食べられ、実の弟に、『今日から姉さんはブタ姫だね!』と実に良い笑顔で叫ばれてから願い続けた夢!」
ノブミの立っている床はおそらくは木材で出来ているのだろうが、誰もそれを正確に理解してはいなかった。
ただ、最前列に座っている、前髪が妙に長い男、クニオ広崎だけは、床に対して疑いの眼差しを向けていたのだった。
俺は、ポップコーンはイッキ食いするのが基本的なスタイルだと考えている。と、クニオ広崎は突然叫んだ。会場は静かになった。
ノブミの全身に震えが走り、ノブミの身体からは凄く臭くて、それでいて凄くヌルヌルした感じの、凄く気持ち悪く、見ている人間に対して凄く忌まわしい気持ちを呼び起こす液体を放出した。
路上に立った。地面は左右にある塀の影によって、薄青くなっていた。夜だが、月はなく、濃紺の空があるだけ。松原陽子はため息をついた。松原陽子は49歳。まだぴちぴちのギャル。昨日も、自分自身の麗しい性器を活用したばかりだった。もちろん一人で。
「私はこれからどこへ向かうのかしら。何でこんな場所にいるのかしら」
松原陽子は呟いた。彼女は、答えを期待していた。しかし、現在夜中の2時。誰もいなかった。松原陽子は皺の沢山ある頬を痙攣させ、マイケル・ジャクソンの「スリラー」を踊った。しかし、中盤辺りで躓き、倒れ、顔面をコンクリートにぶつけ、鼻の骨、及び頬の骨を砕いてしまい、また、右目を潰してしまったのだった。
「ウウ……」
くぐもった声。松原陽子は血だらけの顔を撫でた。
「フフフ。何だか温かい気持ち。こうしていると、昨日見た、ノブミのライブを思い出すわ。彼女の半分しかないお尻を」
ハートフルな気分に浸り、松原陽子は微笑した。
その翌日、ノブミはステージに立った。
「みんな、残念なお知らせがあるの。それはね、実は……」
ノブミはまた、例の液体を放出した。ノブミは超ミニスカートを脱ぎ、パンツを脱いだ。
「あたし、お尻が両方ともなくなってしまったのです!」
ノブミは涙を流した。もちろん、もの凄く臭い。
会場に集った5人の観客は、一斉に拍手をした。観客の中にはクニオ広崎、松原陽子の姿も見られた。「ノブミ! ノブミ! 僕らの希望!」
「ありがとう……ウウ……アジガドゥー」
ノブミは盛大なアンコールを受けた。彼女は自分自身が豚の臭いを放っていることに満足し、笑った。
「私自身の弟よ! お前は正しかったわ! だから早く死んでね!」
クニオ広崎はポップコーンの食べ方について考え続けていた。
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