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【 30秒で読める話:08 】さかさま

taro-nagahamada

沖縄のアラハビーチで行われた野外フェスに行ってきました。ぼくの推し「石垣吉道」さま、沖縄のレゲエアーティストです。それにRITTOさま、DJ4号棟さまのライブがめっちゃ楽しかった! 一生踊って過ごしたい!

小説

548文字

【 30秒で読める話:08 】さかさま

 

最後に逆立ちをしたのは、いつだったろうか、とぼくは思った。

 

大人になってからはやっていない。それはわかる。

子ども時代の後半だって、やっていなかったような気がする。

 

ぼくは部屋を見回した。積み上げられた本が壁に沿って並んでいる。

その隣には段ボールの山……。

 

ソファを前に出したらいいか、などと考え始めている。

四十を過ぎた自分は、そもそも逆立ちなどできるのだろうか。

 

ソファを動かして空間を作って、黄ばんだ壁紙を見つめる。

三ケタを超えた体は、そんなわずかな動作をしただけで息切れを起こしている。

 

やはり無謀な考えかもしれない。額の汗をぬぐう。

 

だけど、説明できない何かが自分の中で芽吹いて、その衝動にあらがうことはできない。

 

床を見て、そこに手をついて、「よいしょっ」と声を出すところまでシミュレーションをしている。

しだいに疑念は、できるという確信に変わっていく。

 

どすどす助走をつけて飛び込んだ!

 

手首がぐにゃり。頭が床に滑ると、おどけたように首がこぼれる。

「たかお、ご飯できたよ」

母親のほがらかな声が聞こえた。

世界がさかさまだと気づくのに、時間はいらなかった。

© 2026 taro-nagahamada ( 2026年10月20日公開 )

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