ええ、人間以上に我儘贅沢で、ないもの欲しさの世界を生きる動物はおりませんで。
やれ、鳥みたいに空を飛びたいの、鳥のように囀りたいの、満たされたら満たされたで健康が欲しいの、隣の芝生は青しの連続で、嫉妬と物欲しさから、観察実験結果失敗成功の連続であります。
わあい、日本語に飽きたあって訳じゃあねえんですがねえ、おにいさん。
意味というものの凝り固まりから解放されたいと思うと、言葉を上下左右斜め縦横から崩して解体し、バラバラにして並べ替え、別の視点から見て鑑賞しようとする。
あえいう えおあお には、分かり易い規則性があるが、おまへり ゆのくに だったら、どうか?
解体された言葉を日常語に差し込んで、その違和感なきを愉しみたい。これはそんなお話です。
「ああ、遅いなあ、あいつは!」
「こうなったらドアを開けてこちらから尋ねにいってやる。えええい。しごはちなむ しごはちなむ おまへろてろ ぺ!」
(ががああ、ギギいい)
「やったあ。あいたぞう」
と平八郎。
「まあ、やあねえ。こんな夜中に訪ねてきて。本当に、もう うすてえつ あの えくわにや よお!」
と、夜のお嬢。
テレビの天気予報は、こう言います。
「ええ、明日からのお天気は、さぎやのがけの、ゆぢ のち ぷきうかへ のち ぽびちげけ」になる見込みです」
それを見て、怒り親父はこう言います。
「ううん。明日からまた大変だなあ。しかし人生、辛抱が肝心。あの名君。さきやまのほねのすいろくも言うじゃあないか。先のことなら、先の骨。明日の行方はわからない。をめわざりが しずほぬ ってな!」
ええ、新しいとは、なんでしょうか?
「それは反対から考えると分かり易い。古い埃を払うことだよ。
さっや にしちいち いちし しご はちなむ って、言うじゃないかあ」
と、ガリ勉の東大透が言うとお。
「こ、こ、こ、ぱゆのぺ わじやこ…トイレに行きたくなった….わ、わ、わ…かしおで、ですれ、あお!」
と、あわてんぼうのせっかちのおっちょこちょいの助六が漏らします。
それを見ていた真面目肌の努力家の浅井隆君が遂に
「みの! んゆの をぜおわ!」
と、注意警告する。
うう、言葉が意識と無意識の折衝(せっしょう)により折り重なった時、うう、えとぴりのもしの みそあま あたらしい世界が開けるものであります。うう、隙間から風のように新しい言葉。意味のない言葉、意味のある言葉。うう、意味はあっても、意味のないように聞こえる言葉、ああ、意味がないのに、意味ありげに聞こえる言葉、ああ、意味あって訳あって、味もあり、それでいて軽率に響く言葉。ありとあらゆる意味と訳と卒と栗の花と紅葉と現実とイマジネーションと、天ぷらのカスが! 網の目の中から、つけ入り、分け入り、ビュービュー入ってくる。それを見て元の人物、初めの人物、冒頭の人物、平八郎が、冒頭に
「しごはちなむ しごはちなむ おまへろてろ ぺ!」
とドアを開けたのと同じ勢いで
「しごはちろく しごはちろく はちろえにや よ!」
と門を閉める呪文を唱え、ガラガラガラと門が閉じた後、当然の如く、真っ当の如く、至極の如く、烈火の如く、正義に乗っ取り、正規に慮り、正常に従い、鬼畜破竹ビーチクの勢いで、こう言ったのでした!
「むう、 んぺゆじの ろかひてね かよ!」
ってね!
ええ、なんのこっちゃか。うう、最後に皆さんに、この言葉を送ります。
「かこやろくう じゅうににいはち ごうえろてえ つねこころなき とわのみちすべえ」
どうも、ありがとうございましたあ。
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