メニュー

まちがい電話

破滅派25号「児童文学」応募作品

ゐで保名

「ヨシオさん、いてはる?」「違います」「あら、すんまへん」対象年齢:15歳以下

タグ: #破滅派25号「児童文学」

小説

1,883文字

月のはじめに、まちがい電話がかかってくる。

最初は、夜だった。わたしは台所にいて、手をふきながら出た。
「ヨシオさん、いてはる?」

年のいった女の人の声だった。
「違います」
「あら、すんまへん」

それで切れた。

次の月も、同じ時分にかかってきた。同じ声だった。
「ヨシオさん、いてはる?」
「違います」
「あら、すんまへん」

三度目のとき、わたしは受話器を取る前に、たぶんあの人だろうと思った。思ったとおりだった。
「ヨシオさん、いてはる?」
「違います」
「あら、すんまへん」

番号を押しまちがえているのだろう。一つか二つ、数字が違うだけなのだと思う。同じまちがいを月に一度くりかえす人がいるということが、わたしには少し不思議だった。

けれど、こちらから教えることはできない。教えるには、正しい番号を知っていなければならない。わたしが知っているのは、その番号ではないということだけだった。

四度目からは、月のはじめになると、少し待つようになった。
待っているという言い方は、正しくないかもしれない。待つほどのものではない。ただ、月がかわって何日かたって、まだかかってこないと、今月はどうしたのだろうと思う。

そういう月は、これまで一度もなかった。

 

冬になった。

その月の電話は、いつもより少しおそかった。十日を過ぎていた。
「ヨシオさん、いてはる?」

声が、少し違って聞こえた。低いのか、遠いのか、うまく言えない。風邪をひいているのかもしれないと思った。
「違います」

この作品の続きは外部にて読むことができます。

© 2026 ゐで保名 ( 2026年8月4日公開 )

これはの応募作品です。
他の作品ともどもレビューお願いします。

みんなの評価

0.0点(0件の評価)

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

  0
  0
  0
  0
  0
ログインするとレビュー感想をつけられるようになります。 ログインする

著者

「まちがい電話」をリストに追加

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 あなたのアンソロジーとして共有したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

"まちがい電話"へのコメント 0件

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る