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ベレッタM9とM&P、それからグロック19について。

巣居けけ

ベレッタM9とM&P、それからグロック19について。

小説

2,489文字

ベレッタM9という銃がある。拳銃だ。イタリアで開発されてアメリカ軍に採用された拳銃。具体的にはM92Fだとか、Mを付けずに92Fだとかいろいろ呼び方はあるけれど、そんなことは少なくとも今はどうでもいい。名前なんていいんだ。いやよくないけれど、だって名前もカッコいいから。でも今はいい。とにかく今は別にいい。そうではなくて、とにかく今はベレッタM9という拳銃の外見について議論したい。

ベレッタM9は美しい外見をしている。拳銃マニアは誰でもそんなふうに、ベレッタM9について感想を述べる。その通りだと思う。特に、ベレッタM9がただカッコいいだけの拳銃に留まらず、そこから一歩飛び出した、特異な美術的な魅力を放つ原因はあのスライドの形にあると思う。スライド中腹から前方まで、大胆に彫られた溝によって内部の銃身がむき出しになっているあの構造、ああいう他にないシャレた造りが人を惹き付けて離さないのだと思う。さらに、さらにだ、ベレッタM9の外見には曲線がたくさん採用されている。これは、拳銃としては何か異例だと論じることのできる特徴だと思う。

銃火器とは武器ではない。銃火器とは道具なのだ。人を効率よく、最小限の被害で殺害する道具こそが銃火器なのだ。だからカッコいい。だから魅了される。だから奥深くって探求したい。だから銃火『器』と呼ぶ。銃火器とは道具であり器具であり無機物であり人ではなくってけれど人と密接に存在する。そんなものに曲線なんていらない。曲線とは必要以上にカッコよさと美しさをもたらすことがある。そんな余分な魅力を道具に求めなくていい。だが、ベレッタM9にはそういった魅力が付随している。スライドの本来角張っておくべき箇所がそうではなく、曲線によって時にシャープに、時に太ましいように造られている。これは異例だった。そしてその異例の事態によって世界中にファンを造り、こん日まで支持されている。

ベレッタM9は主人公なのだ。SF映画の架空のエージェントが握っていそうなくらいカッコいい。こんな拳銃を腰に常に装備していたアメリカ軍人はきっと独特な高揚感に常に満たされていたに違いない。自らがこの世に新しい秩序を敷き、全てを支配する勝者なのだと疑わなかったに違いない。そんな特別感を、高級感を与えてくれるほど、ベレッタM9は優れた拳銃だと呼べるかもしれない。

M&Pという銃がある。拳銃だ。警察ウケを狙っただとかそういう話があるがそんなことはどうでもいい。ネットで調べるとアニメ『リコリス・リコイル』の井ノ上たきな氏が使うハンドガン、みたいな情報が出てくるけれど、そういう話題も今はどうでもいい。いや、『ミリタリー&ポリス』とかいう名前だったり、それからリコリコに関しても、長々と語るべき価値のある話題だけれど今はいい。今はM&Pの外見について語りたい。

M&Pは攻撃的なデザインをしている。角張っており、エッジの立ったトゲトゲしい外見をしている。それでいてグリップ部分は何か握りやすいような細工が最初から施されている。人間工学だのなんだの、よくわからないアレコレに基づいた設計というハナシを、ガンマニアなら喋りたくなるかもしれないがここではしない。とにかくM&Pのグリップは握りやすいというか、手の中にちょうどよくフィットするような感触があって心地いい。たきな氏がわざわざ採用した理由もなんとなくわかる。そういえば、エアガンを調べているとM&P9だったりM&P9Lだったり、pcポーテッドとかいう単語が付いているのをよく目にするが、詳しい違いは知らない。ただ、pcポーテッドというバージョンに関しては従来のM&Pより銃身長が伸び、それに伴ってスライド前方に謎の穴がいくつか開いている。そのため穴から覗くと中の銀色の銃身部分がちらりと視えて、これもまたカッコいい。何かクールなのだ。そう、M&Pはアレだ。熱血系主人公の横でヤレヤレ……、ってやってるクール系戦闘強者って感じだ。ちょっと斜に構えた中学生とかがファンになるようなああいうクセのあるキャラって感じがする。イカつい。とことん硬派で実力主義ってイメージで、やっぱりそれもクールキャラの井ノ上たきな氏に通ずるものがある。

グロック19という銃がある。拳銃だ。gen5だとかgen4とかいって少しずつ仕様が違うけれどそんなことはどうでもいい。というか19という数字さえ今はどうでもいい。グロックはグロックなのだ。17とかその他にいろんなバリエーションがあるけれどとにかくグロックはグロックでありグロックなのだ。

そしてこのグロックこそが至高の拳銃だということを主張したい。

グロックの外見的特徴は『無個性』という他にない。とにかく形に個性がない。スライドは角張っておりフレーム部分にも特別な細工は窺えない。スライドストップも武骨だし、トリガーについても、眺めている間はその形をよく覚えているが、すぐに別の拳銃の別のトリガーを視てしまうと(あれ、グロックのトリガーってどんな形だっけ?)なんて忘れてしまうくらいよくあるトリガーって形をしている。量産型みたいな無個性な形、数字によってちょっとずつ外見が異なる部分がむしろ量産型兵器っぽい。けれどそれがいい。グロックはそれ単体では主人公になれないし、別に主人公を近くで支えるポジションともいい難い。けれどそれでいい。それこそが真のプロフェッショナルというか、その静まった控えめな感じが、むしろ闇の世界の仕事人の相棒っぽくていい。たとえば映画とかで主人公が、ベレッタM9でもM&Pでもないグロック19を握っているとそそられる。何か(ワカッテルッ……、コノ作品、ヨクワカッテルッ……!)などと握り拳を打ち上げたくなる。エアガンのグロックを触っていると、自分は実は裏社会の要人を次々と消している腕利きのヒットマンなんじゃないかって気がしてくる。グロックがいい。グロックこそが実は最高に、プロフェッショナルの道具なんだと思う。

© 2026 巣居けけ ( 2026年5月23日公開

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