我は濡れ聴こえる雨音はノイズ沈む絶望夕立に似て
夕立の音と匂いは死神が現る気配によく似ている
夕方と夜の間の空は絞り染めした竜胆色の布
皆同じ姿になりたきと皆同じ向きを進まむとする行先は奈落 不安を煽りて不安に殺さる
草を焼く匂い漂うホームにて命が無くなる気配がしてる
鈴虫やふと風過ぎる秋の夜
夜長にて鈴虫の声聞こえては月の光に照らされる君
ビル群の合間を貫け爽籟よ
ふと薫る蚊取り線香かの夏よ
紅葉月秋の夜風の冷たさに自らの死を重ねて想ふ
紅葉の夜小夜風が吹く淋しき世我の眺める道の赤さよ
月も無し秋の夜長に吹く風は我の虚しさやけに教えむ
月の下孤独な夜に陽色の灯今の淀川夕焼け見ゆる
真夜中に爪を切る親不孝者の末路
道端にワイパックスをふと見つけ持ち主の幸祈ったりする
中秋や人は面上げ月拝む
名月の輝きの程太陽に及ぼうとせむこの愚かさ
ビルの間に顔を出したる満月は我を見つめて立ち止まらせる
寺の跡芒の原に十六夜月
掌が血生臭く顔顰める
ゆすりかが大群に目を奪われる
楠葉宮神の如くある樟葉ビルモールの上から現世を望む
葉を散らし我を出だせし俄雨秋の夜長の月を隠して
暗き部屋夜風が我の身体撫で未来の不安に震えて眠る
声を聞きふと前を向く秋の空遠く見えない春の影想ふ
見る度に暗くなる窓無慈悲にも
仕切り無く雨音続く窓の外夜更け差し込む青き光や
夕焼のひに山燃ゆる秋の空
晴れの日も時に憂鬱なるものと人は知らぬや冬の寒空
塔の灯が点滅をするその様で我の心も虚しくなりぬ
何もせず唯生きるのは罪なりや
娯楽さえ何も成せない絶望よ
怠惰なる今と未来の絶望が我の足元鎖と成りて
また一人立ち止まる人増えてゆく進まぬ時に道を塞がれ
この灰色の世でふと目を閉じて男女がもたれあい愛育む
老夫婦の重ね合う皺だらけの手は何を知り語るのか我には思いつかず
全てを手放した先に残るものを問う
全てを捨て去りたいが捨て去り難き現実
人間が身に持つ全てを取り払って仕舞えばどれだけのドブの塊が現れるのだろうか
幼児が走りては徒に隠れるさまに我な見捨てそと声にならぬ声出でぬ
電車の揺れに揺さぶられる程意志軽き我
雨止みて微かに先の跡残り手摺りに触れて手は濡れにけり
寝過ごして目覚めた後の知らぬ世の我を見る目の余所々々しさよ
胸を締め付ける得体の知れぬ未来への恐怖我の不安が止まることなく
自己否定により為される我の不安は長い冬の夜の如く
信じていた人々が一斉に我に背を向けたある日
道化師が化粧を落とし自分のみ孤独であると気付きし涙
子供の清らかな感情は我にはナイフになりて突き刺さる
健やかに童が寄りて近付くを我は密かに避けむとする
泣き叫ぶ喜びを忘れ大人は物陰でふと涙を流す
明王の如く燃えたるもみぢ葉は我の死に様いかに見給ふ
今秋の憂ひの深さすさまじくもみぢの赤も慰めならぬ
冬は明け青空に日が差すけれど桜のみが咲かない季節や
ホームを間違えるそれだけで人は目指す方向見失うもの
壁に這ふ羽虫の如く我もまた未来彷徨う羽虫なるかな
冬の夜凍える寒さ我が孤独に似ているのは障害灯よ
ふと見ゆるイルミネイト我の目にはただ燃ゆる木の有象無象か
席を立ち譲らんとして断られわざと咳をし立ち尽くす人
空虚さと自己否定へ落ちむ時煙草の匂いのする人がいた
廃寺となりし後にも雨宿りさす御心の情け深さよ
"生活の中の断片的な詩集Ⅷ"へのコメント 0件