いきなりですが、私は、お盆も通常運行の業種に働いているゆえ、まとまった休みが人よりずれてくる身でして。
ということで、思い立ったらなんとやら。大阪なんて出張ですらロクにいくことのない関東ローカルマンが数日前にゲリラ予約のノープラン大阪万博観光を敢行するにいたりました。
何かの縁でこちらのページに訪れた方、行かれる予定のある方は反面教師としてプランの参考にするもよし、実は万博そのもの批判したいけど、それゆえになんちゃらチェンバーで生きた情報がまったく入ってこないので、ふわふわしてる方はこれを機に体験したつもりになるもよしでございます。
まずはコミケからそのまま新幹線で大阪まで直行。大阪は久々というもの、数年前母校の応援をしに日帰り甲子園は行ったことがあるので、乗り換え駅として、新大阪ー梅田までは頭に「?」マークをつけずに行き来ができる。荷物をホテルに預け、なんばへ向かう。

そして、思うのは大阪。地元民は目につくとこだけ綺麗にしてるだけの見栄っ張りと謙遜するかもしれないけど、梅田もなんばも都市景観と利便性がしっかりしてる。
結局、維新府政に文句を言うなら、まずこれより生活圏を良くしてくれなはれというのがサイレントマジョなんちゃらの声なのかはわからないけれど、「郊外には美術がない」と謳いつつ港区でわっしょいわっしょいピーポーピーポーしてる東京は考えなきゃいけないのかもしれない。美術館じゃなくて街中に絵画や彫刻がある、意外と。
道頓堀は屋形船からの賑やかなビート音と瞬いネオンサインで、悲しい色を上から塗りつぶしている。新宿や渋谷はここまではLEDの時代にネオン的な文化が生き延びてないので、まずここに来ただけで、「EXPO2025大阪館」という感じだった。

(私が訪れた翌日にこの賑やかな街で、幾人の方が怪我をし、そして、二人の消防士の方が亡くなった。ご冥福をお祈りするとともに、残された家族、親しい人たちの突然喪った日常、その心中を察するだけでも心苦しい。火の元は夏場でも変わらず用心したい)
街に着いた時点で21時をまわっていたので、食事はエキチカ、エキナカで済ませることに。とんかつKYK、西の人には結構馴染みの存在らしい。そして、なにわ麺次郎。東京でもミシュランラーメン屋さんはあるけれど、駅構内でというのは新鮮。美味しいサクサクのとんかつが食べたい。〆のしっかりした味のラーメンが食べたいという舌と脳の需要をきっちりと満たしてもらった。


翌日はいよいよ中央線に乗って夢洲の万博会場へ。この電車、谷町あたりはガッツリ通勤電車っぽいけど、九条あたりでうまいこと、行楽電車としての姿にシフトチェンジしてる感がある。棲み分け。
空港のように、荷物はX線に通すので、日帰りでない方は日傘や充電バッテリーなど最小限の持ち物で来場した方がいいかもしれない。ちなみに事前の予約抽選は名だたる美を来日させたイタリア館、お膝元大阪で本気を見せつけてると評判の住友館をはじめ全滅。nullも本当にnull。令和になったばかりの頃、こぢんまりとした落合陽一展に行って、「小さい空間の中で、ここまで無限を表現できるなんて凄いな」と驚かされたけど、今はでかいパビリオンをふんだんに使ってnullを表現しているのだから、6年の月日は矢のようにはやいが遠い。
まずは目についたUAE館で異国情緒を浴びて、当日抽選センターへ。そこで19時半からの飯田Gと大阪公大のパビリオンの優先入場券をゲット。この時はうかれてただけで、気付かなかったけれど、抽選の中には完全予約制のパビリオンと優先入場の二つがまじっている。一日でとれる当日抽選予約は基本ひとつ。そこをよく考えてとった方がいいかもしれない。しかし、この日はせっかくの縁なので、この予約はリリースせずに19時半に遊びに行くことに。

当日抽選の会場(充電・電波事情に余裕がある人はネットでやってもいいかも)の向かい近くのオーストリア館でパビリオンのマスコット、その名も国旗に因んだ名前の「アカーシローアカ」君からオーストリアの豊穣な文化や先人たちの知恵、努力を学び、北斎に惹かれたベーゼンドルファーのピアノはひとりで未来の作曲家たちの作品を弾いていた。これ、学生さん嬉しいだろうなあ。そして、ひそかにY世代には馴染みのお菓子、首チョンパことペッツはオーストリア生まれのお菓子であることを知る。

そして、お次は5つあるコモン館をハシゴ。単独パビリオンがない国の展示でしょと侮るなかれ、結果としていいますが、このコモン館が一番、万博の世界旅行感を味わえますぜ。点在するコモン館はすっと入れることも多いので、是非。

この空間ではパレスチナも南スーダンもパキスタンも和やかに時が進み、一生行くことはないであろう国から来たコンパニオンの方が微笑みを湛えて故郷の文化を語り、踊っている。考えさせられることも多い。パビリオンという場所はどこまでもパブリックがプライベートをもてなすものだけど、政治、観光、SNS、世の中のものは意外と公私の塩梅で数値化出来たりするのかもしれない。そうなると、どこまでも戦争は数値異常である。
コモン館を出たら、一度ダウンロードした地図と実際の景色を照らし合わせるために、大屋根リングの上へ。

建築当初は散々言われていたこの木造リング、後、2ヶ月をつつがなく耐久できれば、ランドマークとしての役割、雨避け風除け日差し避けの役割を十二分に果たせたといえると思う。上段は暑いけど、せっかちさん向けのバイパスとなっている。ただ、下に降りられる場所は意外と少ないので注意が必要。
西ゲート近くの案内所でいろんなもののチャージ(無料の給水所や充電のチャージスポット、携帯バッテリープラグ付きの自販機などがある)、そして、向かいのショップでお土産を購入。郷に入れば、郷の者に導かれるのも一興かなと。ガンダムが対峙するのが、吉本とパソナっていうのは、ともだち的なのを狙っているのかという気持ちになる。
大屋根リングの下であてもなく足跡で弧を描いていると、ちょうど建設が遅れていたことで話題になっていたバーラト館が入場規制が解除されたタイミングになっていて、すんなり入場。ヒンズー語でインドの意味を持つバーラト。ジョージアもそうだし、最近は20世紀の主に宗主国だとかの呼ばれ方で呼ばれていた国名が「私の国は、私の故郷はこう呼んでください」と自ら主張する時代になったので、インドもこれを機にそう呼んでほしいのかもしれない。
入り口のオブジェには、カタカタでバーラトってでかでかと書いていった。ゴシック体表記のシンプルなロゴ、素人感というか、アマチュア感がかつてはあったけど、アマチュアがプロを食うインターネットの時代ではいつの間にかトレンドになった気がする。このトレンドが変わる頃は世の中はインターネットの次を見つけた時になるのかもしれない。

バーラト館では文化、自然、そして、成長著しいITや都市計画の分野を開設展示していた。
パビリオンの出口にはインド料理が売っていて、平成生まれの日本人には給食などで馴染みのあるナンとバターチキンカレーを購入。2000円ちょっとだったはず。大屋根リングの下のベンチでナンを頬張る。現地の焼きたてナンは美味かった。万国食いだおれ巡りというのも一興かもしれない。
腹ごしらえをしたら、再びパビリオン巡りに向かう。

ところで日本では比較的馴染みの薄い国ではあるけれど、アルジェリアという国は歴史的にもシンプルに面積や人口の面でも、結構、存在感のある国である。ついこの間、第二次世界大戦ポツダム宣言から80年ということもあり、戦争の過去や戦後の日本のあり方を振り返る時間が流れたが、どちらかといえば、その直後からがアルジェリアに関しては、振り返らなければいけない歴史、傷、そして、何を代償にして、何を手に入れたのか特に記憶され、語られ続ける時間が始まる。
19世紀の価値観を受け継いだ20世紀の先進国は皆、できればなかったことにした暗い顔を持つ。21世紀にどう振舞うか。もう四半世紀が経っている。ところでコモン館とかでも、海外サッカーを見ていると、それで知っているような国も多い。ちなみにアルジェリアは激戦のアフリカ予選もあってワールドカップでは出たりでなかったりではあるが、20世紀の終わりにはフランスとの二重国籍を持つ一人の天才的プレーヤーを輩出した。ご存じ、ジズーことジネディーヌ・ジダンである。
この時間は、アルジェリアもそうだけど、アゼルバイジャンやトルクメニスタンといったイスラム教の国々を多く回った。アゼルバイジャンやトルクメニスタンは政情さえ安定していたら、行ってみたいなと思う名所が多いので、かわりにパビリオンで満足しようという魂胆。


トルクメニスタン館は展示に力が入っていた。圧巻だった。確かに凄いんだけど、ここまで派手に「国威発揚」をされると、カルチャーショックも大きい。端的に言えば、「お、おう……」となる。めっちゃ好意的に北朝鮮が文化アピールをして来たら、こんな感じになるのだろうなという感じ。無邪気に独裁国家が文化的かかわりの薄い国に自分の国をアピールしたらというような。
観光客の哲学ではないけれど、交通やITインフラによって、一気にハードルが低くなり、21世紀一番の現実的テーマとなった移民。移る人、国境線にいる人、移った後に生まれた人というのは何も降って湧いて来たわけではなくずっと存在し、歴史はそういう人たちとの交流によってまた新しい文化も芽生えるものである。それこそ、紀元前から。強いていうなら、往来の不均衡なのが歪みなのかもしれない。好き好んで、経済も思想も自由な国から貧しい独裁国家へとは矢印は向かない。
どこのパビリオンも文化や歴史、そこに住む人々の暮らしを垣間見ることができて、興味深いものがそろっていたが、予約なしでそれなりに並べば入れるパビリオンの中で満足度が高いものは今回、私が訪れた中ではフランス館だった。行列もそれなりに長いが建物自体のキャパシティが優れているので、抽選無しで比較的容易に訪れることができる。
建物に入り、まずはじめに出迎えてくれるのが、ユネスコの無形文化財にも選ばれているオービュッソンの織物を背に佇んでいる古めかしいキメラ像。吸い込まれるような背景となるタペストリーには日本のアニメ大好きなフランスらしく、幽玄な杉の森に身を隠したもののけ姫のアシタカとヤックルが綴れ織られている。
キメラ像はなんと大火を免れたノートルダム大聖堂から持ってきたものだという。ディズニーアニメ「ノートルダムの鐘」を今はすっかり見かけなくなったカーシネマの大型スクリーンで見て以来、一度ノートルダムに行きたいと思い続けていた自分に図らずとも訪れた邂逅。感慨深いものがあった。それと、なんとなく描かれた大杉の森の中で思い浮かべるのは、描かれているアシタカたちではなく、不思議とエボシ御前の方であった。


イタリア館はルネッサンス、クラシックなアートで行くかもしれないが、うちの文化はファッションとコンテンポラリーダンス、そして、ワインやオリーヴにまで美を見出す文化、モダンに行くぜという対抗心的な徹底さえ感じる。美は与えられるものではなく姿勢だと。ヴィトンのオートクチュールな馬具やバッグは、ディオールの被服デッサンはローマの彫刻やダヴィンチのクロッキーにも劣らない尊さがあるのだと。自信があるのね。やっと日本もサブカルって卑屈ないい方をしなくなってきたけど、近現代に築いてきた文化に。Hymne à l’amour.


小っちゃい女の子も目をキラキラさせてたりして、そこは普遍的な憧れでもあるんだなあと。でも確かに魅入られますもん。
フランス館を出ると、そろそろ日も傾きだす頃、夕飯の為にと予約していたスシローも「だいたい20時前くらいですかね」といわれているので、抽選のゲットした飯田グループの展示も含めて、身の振り方を考えなきゃいけない時間に差し掛かる。韓国館も展示に力を入れている、それに色々伝えたいこともあるということで評判もよかったので、一度は足を運んだのだけど、待ち時間の都合上断念。残ったコモン館や静けさの森などを散策。世界の国とこんにちはは出来てるけど、未来の世界とこんにちはできずじまいなのは心残り。


漆黒に吸い込まれる美を見出しちゃうのは”japan”の性なのだ。頑張れ、輪島。

インドネシア館も「ヨヤクナシ!」で入れます。
そして、満を持して飯田G×大阪公立大の展示へ。やっと未来の国とこんにちはできたわけで。西陣織でできた綺麗な目立つパビリオン。そこでは脱炭素なスマートシティ、人生100年のウェルネススマートハウスを紹介していました。健康状態をセルフで診断してくれるクレムリンみたいなトイレとか。


wii-fitとか知っている身としたら、わりと「懐かしい未来へようこそ」的な安心感がある。あと、ちゃんと座れるというのは基本立ちっぱなし、歩きっぱなしの万博会場ではありがたい。

パリピなスシロー。予算の制約が無かったら、ここまで弾けたアミューズメントファミレスみたいなのを作りたいんだなあと。バンナムとかセガあたりと協力して。竹富島の海老とかが食べられる。

今回は御縁がなかったぬるぬるした館を背にベンチでまったり。数十分後にファイヤーワークならぬウォーターワークがあるのを知っていたので。水と生きるサントリープレゼンツの空気で答えを出すダイキンプレゼンツのスペクタクルショー。少年と関西弁を喋るドードー君が織りなすストーリーにあわせて、噴水や光のイルミネーションを使って会場を湧かせていた。

舞浜のTDLもそうだけど、夜も更けた一日の終わりに色とりどりの光を見せられると、名残惜しくなっちゃうのよね、心が。写真に撮るより、目で見た方がいいタイプのアトラクション。凄いんだけど、さっきのパリピスシローとともにカジノ後の有効活用された姿もちょっぴりチラついたりもする。
ドローンのイリュージョンは中止なので、夢洲駅からポケモンたちに見送られながら、そそくさと退散。
最終日は帰りの新幹線までの時間を新世界で潰すことに。



ジャンジャン横丁は新宿のゴールデン街以上に昭和に取り残された分、逆に文化保存された感が一周回ってエモ扱いされて人気になったのかも。元将棋クラブだったテナントを串カツ屋さんにした「王将俱楽部」にて、お昼を食べる。白鵬関の手形(だと思う)が飾られていた。こういうとこに来ると、将棋がついこの間までの麻雀みたいな博徒的な頭の切れた人たち扱いされていた時代をうかがい知れますよね。

麻雀ファイトガー……ではない。
最後は向かいの「かすが娯楽場」でレトロゲーを楽しむ。昭和世代平成世代が楽しんでいた80年代から00年代のゲームたちをα世代がプレイしていた。

あと、思ったのは意外と関西の人たち、蕎麦も食べるし、関東のタレントさんにアレルギーがあるわけでもなさそう。大阪府のポスター梅沢富美男さんでしたし、スパワールドも矢吹奈子さんだったし、8/31まで憲さんは個展を大阪でやるらしい。
そんなこんなな大阪2泊3日旅でした。
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