コバルトのヒツジの瞳

arai

1,690文字

見上げると私たちはただ、まるで生き物のように動いているひかりで

()の、らびりんす。ミニチュアのバターが入れた、ミルク缶を潜めて、コーンフレークを巣食う、避難用リュックがバカにして、このこのこの!

 

わらうわらう。ぜんぶ過去だ。おぞましさの疼痛を、せこましい毎日の、野を梢を殺す。原罪は、邪推だなとぶしつける表情に任せるにはなにか、ふたつ、堕胎して

 

どこだ 私の両目は、おももち/めまい、思わせぶりにおもう。首を傾げて、カモフラージュだったと眩しすぎ

 

突っ伏した眼窩の色彩が甘い。子らの草花は密だ。アレはもう落ちた星の希望で、大声で掴んだ利き腕よ、振り向けど、あらましを話せるならば。我知らず、遮断機の降りた廃線の夢をおもいおもいに地に歩幅の分、見知るだけだ

 

無意味なようすは一人芝居だと鮮明にイメージして。カラフルなフィルムがまた、新しい言葉を生む。どうせしにゆくだけのものそのじんせいのひまつぶしに

 

色あせたしずくは深く貼られた 苦虫を奥歯で飼う、痛みばかし藪医者に便りを出すから。この際似せたばかりのよく晴れた朝。切り崩したcosmosの果てに 意識の断片がただ無作法にベッドの上でうねり、悪酔いした鉛の錆びたバラバラに。オレンジが咲き誇る

 

夢また夢の短い午後じゃ嘘をつき、すり抜けて流れ込みリズムを刻みつつ散らばり、泣き顔を浮かべるサイコロの魔法のごとく

 

「おもちゃのピアノが夢の中の夢中の飛行機雲」
として芸がないが、悪気もない
人生/と或る/ならば

 

どことなく求め分解された大群が少し、口を噤んだは、ね()。願いごと、かつてあった雨が芽生えて、掌に降り注ぎ、呼吸の裏返しでは、未完成の精霊が傾いた 濃い紅茶にしぶしぶ道を譲る

 

見上げると私たちはただ、まるで生き物のように動いているひかりで、それはただの布切れであり必要とされないトランプが、香ばしいスパイスが斜めに差し込み、弦を擦ったスプーンと弾ける、赤いインクのボールペンがトライアングルエコーのように 口に運ばれ、舌がまぶたを叩く。きまぐれに向かう指針を 唾液の泥のような夜空を背負った。唸り声を曇らせながら。微笑むように見えるとき、枕元に描かれた風をつかまえ、硬化した空気を掘り起こす

 

無数の日焼けしたボトルの全体は カラに引き裂かれた日付に溜まっている。勝手な自由を織る、くだけた跡形に奇々怪々と預けて 少し達者で、明日こそ侘しくもいたわりあって。拭った炭酸の気泡がまた触れて温められただけで。気に留めることはない、いまはまだコルクの旻天(あきぞら)に湛む

 

ああそれは孤独と退屈は座り込んだままに。息子()と緩やかな口調で過ぎ去った昔話と聞かせるためにある。(毛糸の紫陽花の形も色も意味も超えて)、感触が反応しているだけであり、転がる心臓が(先端で月を抱きしめる器の底では、)胸懐の耳元でささやく(、木の皮の寄り縋る ネオン管がネバつく。)ミントのピストルを喉仏に構える。(断続的な目玉焼きの真っ白なパレットに戻されては)。身体中をめぐるように なんの意志も保たない。ぎこちない振る舞いに思えたものだ

 

だれかの青ざめたマッチをすり覗く。なにもかもがあの陽 黒ずんだ蝶の翅が机上ではひかりが反射するため、航海図と目指す匂いに雑じる。海から山に、谷にも形を変えて、不規則に折れたどこかで逆らうように生まれ逝き 総てのものを一瞬で交尾する。

 

かすかに例えるなら、腐った船の上で 混ざりあって手にしたいとおもうものが その記録を素描したものだ。それはまたほつれた帆と惰性、深淵を蹴散らして、いまやアスファルトのひび割れに、吐息を紡ぐ儚さを見せつけるとき、うす緑の影が転がり続ける。即座に咳払いを

 

床にこぼれた分かれ道を選ぶのは。重たい雲のかけらも無い から さあ、カード一枚のヒステリックな言葉の襞に、隈なく、その感触は瞳孔のない目玉がぶら下げたままの喪失感へと手招く

 

結局、がむしゃらで愛くるしいなんてデタラメだとふてぶてしいから
 マニュアル通り街を歩けない。私、無愛想だった

2024年10月5日公開

© 2024 arai

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


4.0 (1件の評価)

破滅チャートとは

"コバルトのヒツジの瞳"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る