ネイティブスピーカーと交通事故の国外逃亡……。最後まで見守っていた飛行機の重なる鉄の音と擦れた素手の中心の穴。
「財団はどうして僕たちを見捨てたの?」
「芋だから……」波が覆いかぶさって全ての頭から頭髪を剥がして去って行く……。
西からやってきたおれは街のカクテル専門店に入ってサブマシンガンを放つ。二度ほど女が震えて倒れたが、死体に跨る蛆虫たちの数を認識してそのまま金庫の鍵を開ける。
「さっさと明け渡したほうが身のためだぜ?」
「それでも財団は僕たちを見捨てないっ!」
するとおれは自分でも理解できないほどのスピードと正確性で頭を掻きむしってから、自分が勤めるべき社員の群れに唾を垂らす。
「どうしてアンタらを見捨てた財団が居ると思う?」
「芋だから?」
おれは頷く代わりに銃口を向けて引き金を引いた。炸裂する火薬の音や、次いで出てくる煙と一体化しておれはそのカクテル専門店から逃げる。
おれはちょうどやってきたバスに飛び乗る。するとゴキブリを食らっている男が運転手の手前で驚いておれを目撃してくる。おれはバスの中で最も腹が出ている乗客を勝手に撃ち殺してその席に座りこむ。
「お客さん、どこまで?」
「ええ! ま、丸太っ!」
回転する飛行機と空中浮遊の槍……。飛び出して錠剤を飲みこんでいる上半身だけの怪物……。音程と鉄の糸と薄い液体やラジオの中だけの村落……。
おれは向こう岸についてからボートの底の硬い位置を突いて針金を呼び出す。さらに地上で最も輝いている教師のもとに向かって野生動物の群れを探す……。
「先生。どうしておれたちは見捨てられたの?」
「芋だから?」
言い訳の財団が用意した物語と、刀剣だらけの山に向かった黄色いサンドバッグの男……。おれは心地の良い歩行などの無機質で単純でどこまでも広がっている脳裡だけの限定的な階段に向かって警察署の入り口を叩く……。
天井に広がっていた蟻の巣のような群れ……。無色のスーツの男……。地割れのコストと破壊的な果実の衝動……。焼酎とロックと氷だけの親子丼などが選択の枠として機能している……。
おれは数学者あるいは分裂男子あるいは新聞紙食らいのクソ野郎の名前を持つ公園に住み着いている茶髪の男を訪ねた。彼は三日に一度の間隔で自分の家に使っている新聞紙を売ってくれる。おれは秘密の焼酎と焦がした薩摩芋を持って彼の四角い扉を叩いた。
「それで? ブツは?」
「これだっ……」おれはかかととシスターベールの間に隠したキュウリを取り出して彼の眉間に擦り付ける。すると彼は左右の手をばたつかせて叫び声を漏らす。外で少年少女が騒ぎながらブランコの上の方の鉄棒にしがみついて回避する……。
「おれはキュウリが苦手なんだ……」
「そうか。ならラジオに出演しろ」
おれは右腕の骨の中心からラジオを取り出して彼を室内に案内する……。
右腕を欠損した道楽の男が街から離れた。すると刑務所と市役所のどちらかの政府の機関が人の居ない螺旋階段を感知し、その穴を埋めようと行動を起こす。おれはその激しい動きに便乗してひと稼ぎできないものかと考える……。
「どうだ? なにか思いついたか?」
「いいえ。ただっ……」
「どうした?」
「コルセットだけじゃあ、なにもできませんよ?」
おれは大量に溢れる白色のコルセットを見上げながらため息を吐いて階段を下る。後を付いてくる駅員が二段目の黄色でこけておれより先に一階に降りる。発情するモンゴロイドの男……。そして遅れてやってきた領有権の問題……。
「それで? これからの島の問題と、洗濯機器の所望を得ている魚の心中について、なにかいい提案が浮かんだかい?」
おれは鉄格子の向こう側に居る鎖だらけ模様の黒いオーバーオールを裸体の上から着ているはげの男に問いかけた。すると二枚目の彼は紫色の口を開き、二枚の舌を高速で動かし、唾液の玉をおれの眉間に当てた。
「まったく! きみはどうしようもないやつだなっ!」
おれは叫びながら鉄格子を叩いた。震え、彼に振動が伝わった。でんぐり返しのような体勢になった彼はそのまま口をさらに開き、中からスパゲッティのような風味のする歴史的な香水を吐き出しておれの地面を奪った……。
「もうどこにも行きたくないよ……」おれはレスラーのように誓ってから就労移行支援の崩壊を願って、自分の席のために配属された唯一のタバスコを飲み干した。「うう。口の中がひりひりするっ……」
すると例の男が近づいてきて、おれの隣に座ってパティシエのふりをする……。「覚えておけ、どんな人間のどんな口の傷にも効能がある。それがタバスコだっ!」
そして男は勢い良くおれの後頭部を掴むと、テーブルの上に乗ったたらこのスパゲッティ目掛けて打ち下ろした。おれの顔面はスパゲッティのぬかるみと温かさが混ざった感触に触れ、不快で塩辛い味が口内に広がった。
ようやくやってきたキーボードの達人が独りきりのステージの上で、複数の声を使い分ける技法をさらけ出して演じている……。
「『母さん、ぼく死んじゃったよ……』という息子が一人だけの教室で嘆く。彼はすぐに右端の机から教科書を取り出し、読み上げるふりだけをする……。
『あらあらどうして? 蛆虫でも踏んだのかしら?』
『でもぼくじゃあ山頂にはたどり着けなかったさ……』
『あらあらどうして? そんなんじゃあ立派な牧師さんにはなれないわよ?』
そして教室の引き戸が豪快に開かれる。
『まるでシンクロナイズドスイミングだぜぇ』」
赤色の針金と体育館に広がる浮遊の墨……。適度な音楽と湿度とそれらを管理している係長が引き合いに出されてから透明な奇数の柱……。
「アクリルパネルにキッスをするのが仕事?」
おれは自分の父親の仕事中の背中を眺めながらトマトを齧る……。「どうして透明なの?」
「果てしない……。優雅な泥……。遊園地と回転する寿司……。店内と吐き出された肥満の男……。呼び出された私有地の管理人……。二人だけの果実……。縁取り……。養子だった男……。おれの心と垣根の根本的な火炎の始末……」
「父さんっ!」
おれは走り出し、彼の二メートルの背中から一番遠い畑の位置に慢心した街道の花瓶を落下させて登校の準備に取り掛かる……。「ランドセルは赤色がいいな!」
スライムが降り注ぐ街。黄色いボールを脇に抱えて脱脂綿を購入してコートの中に忍ばせて会議に挑む数学マニアの連結された百足のようなマンホールの顔の女か男……。「二度は無い……。あるいは、制定された国家の乱立する街並みに当てられた水滴の波と交わった白い線の誘導された土煙の群れ……」
"暗幕によく似た蠢く物理的な失態。"へのコメント 0件