「ねえあなた、もう寝る時間よ?」
「本当にそうかな?」
「え、なにが?」
「なにもかも、が……」魂を解放する……。湯呑の中だけの世界……。おれはいつものように階段を下りながら三日前に腐敗が始まった錠剤の数を数える……。力学の頂点……。漆の模様と草木の香り……。『リトマス』という名の男と浮遊の女……。
村落のエンジン音やトロッコ列車たちの密集地店。おれは砂漠の深い森やコンクリートのミルクに舌つづみをうつ……。さらに皿の上の料理に初めて名前を落とす。すると納税のための機関の男がおれに話しかけてきてくれる。おれは喜んで対応する。
「どうかされましたか?」
「ええ。私は哺乳瓶の会社の男なんですがね。どうしても小銭が必要なのですよ」
「入り用、ということですかね?」おれは断片的な感じの声色で研究者を装う。
「ええ。そこで数学的な理屈を並べる貴方に予測をしてもらいたいのです」
「予測?」おれはカリスマ・ビルディングの真似を唇でする……。「でも季節は秋ですよ?」
「はいぃ……」男は自慢の背広の襟を正しながら黒い骨の未来を眼帯の裏で予測する。すると周りの客どもが黄ばんだソーサーを捨てて、コカインの入った紅茶を最後まで飲む。
「私は医者ではないんですよ」
「なら銀行だな。それとも理解者の森か?」
ようやく電子レンジが『チン』と鳴る……。全ての客どもが立ち上がり、一斉に出入り口の自動ドアに駆け込んでいく。おれはそんな彼らの背中に渾身のダーツをし、後方の背広男が前転をしながら自分の前立腺にキーホルダーをかけているのを目撃する。
ボイラー・ノートによると、三日月の夜には必ず山羊が歩行を始めるらしい。しかしこのノートの走り書きは正しくないことが多い。なのでおれは調律師に修復を依頼し、三日で全てを終わらせるように脅した。二本の指を同時に別方向に動かすことができる彼はウンウンと呻りながら右手で修復を始めた。
「まったく手際が良いな。相変わらず」
「へ、へぇ……。あっしはいつでも舌を伸ばしてますがな……」
そしてやってきた二度目のノート……。素手での感触の中に真実を見出し……、カクテルの香りで四肢がパワー・アップしているのを感じる……。右端で調律師……。女の香水……。体臭が混ざった香り……。致している。
ドミー・チャレンジ……。新しい電撃委員会の族長、鴉の学園とはげた校長室……。
「山羊の血でカクテルを作れ……」とマスターが嘶いている。おれは自分のイカスミ・パスタを軽く平らげてからちゃぶ台をひっくり返してマスターの意思を継承し、酒に精通している山羊を電話で呼び出す。
「複数の紫色の電波による複数の素手の妨害と、ペンウィー・ドダーのような異例の外科の手術によるサーヴィス連鎖反応は数字的には同等なのです。だからこそ、酒と山羊の界隈にはマグマのような熱湯的な脳の破壊が必要で、炎の頂にキャプテン・マニアを設立させるべきなのです。我々は自分で理解している以上に危ないメスを握っているので、学会の統計にひびく魚類が空回りを起こすのです。
孤独死? いいえ、我々は山羊なのです。しかるべき対応を進めるべきなのです。我々は全員が百足に変身することができます。そして山羊たちはその牙で百足の脚を噛みちぎり、体液で時間や電波を掌握するはずなのです。
すると規律を守らない生徒たちが立ち上がり、一斉にしゃもじのような頭蓋で指揮を妨害してくる……。
『サイトに接続してる? それでも赤飯の音?』
『キャラメルでしょ?』
見返りの無い音の反響や緩くなってしまったコンピュータ室のキーキャップ……」
最終料理室の中からペンウィー医師が逃げるように出てくる。
「ああ先生。どうかされましたか?」
ペンウィー・ドダーは自分にまとわりついている埃をうんざりとした顔で追っ払う。「ああっ! まったく調理室というのは嫌悪の塊だな。どうしてこんな場所で食物連鎖が発生するのか、私には理解できん」
「先生でも理解不能があるのですね」
「当然だよ。君。私が何でも知っている超人だとでも? 知識とは停止がないものだよ」
ペンウィーは自分の笑みを看護婦に向けてから自分の実験室に駆け込んで、バタンと大げさに扉を閉めた。
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