この世で最愛で最低な君へ

実琴

小説

1,030文字

人を愛する事が出来ない事に惰性していた私が初めて人を愛した人は優しくて最低な人でした。堕ちていく…愛に憎悪に

彼が所長に付き合ってる事を報告したと言うので、私も女性上司に報告した。

「実は大田さんと付き合う事になりました」

「ええ!良かったじゃお似合いよ!」

女性上司は喜んでくれた。

報告を終えて私は現場の見回りに行った。

すると、よくおしゃべりしてるおばさんに

「石渡さん!ちょっとちょっと!」

と呼ばれたのでおばさんの近くに行くと

「大田さんと付き合ってるんだって?」

と言われた…

やっぱり…嫌な予感が的中した。

私は女性上司に先程報告したばかりだ。

犯人は所長である。50代でパートである40代の人と付き合ってる事は知っている。

自分から言ってたからだ。多分そこから漏れたのだ。

そして他のパートさんにも

「付き合ってるんだって?」

「結婚いつするの?」

行く先々で質問の嵐だ。

私は

「いや〜」

と誤魔化す事しか出来なかったが、おばさん達の情報網は凄い。あっという間に会社全体に広まっていた。

彼は事務所での仕事が多いので、現場にはでないし、おばさん達とも話さない。

おばさん達からの攻撃は全部あたしにくる。これは結構辛い…

だから言うなって言ったのに…自分はいいかもだけど、好奇の目に晒されるの私だ。

そして、私に好意を持っていてくれている男性社員にも

「付き合ってるって聞いたけど本当?」

お前も知ってるのかよ…

彼には諦めてもらう為に

「本当だよ」

と伝えた。

「そうか」

と答えた彼はどこか寂しげに見えた。

申し訳ない。恋愛感情無しでは付き合えるけど、彼を男として見れなかった。

情報が漏れたせいで、私達は職場ではあまり話さなくなった。メールは頻繁にしてるし、周りの目が気になってしまい、タバコ吸う時間もなるべくずらしてたけど 、彼が入ってくる。

『噂がもう広がってるんだから、喫煙所はずらして入って、お願い』

と同じ空間に居る喫煙所でメール送った。

「え?なんで?」

と彼は口にして応えた。

「2人で吸ってる所見られたら、またなにか言われるでしょ⁉️」

「俺は別に平気だけど」

「そりゃあなたはパートさんとも仲良くしてないし接点ないから話す事少ないだろうけど、あたしは毎日の様に質問攻めにあってるの…もう」

ふと喫煙所の外に人が見えたのです

「私、先に出る。お疲れ様」

そう言って、私喫煙所から出た。

『でも俺達が付き合ってるってわかって、あいつら寄って来なくなるでしょ?』

とメールが来た。

やっぱり牽制だったのか。

私はそのせいで質問攻めにあってるというのに。

からかわれたりするのも私だ。

彼は自分の事しか考えていないんだろうか…

 

2022年3月10日公開

© 2022 実琴

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