この世で最愛で最低な君へ

この世で最愛で最低な君へ(第6話)

実琴

小説

958文字

人を愛する事が出来ない事に惰性していた私が初めて人を愛した人は優しくて最低な人でした。堕ちていく…愛に憎悪に

今日も午後の休憩時間は1人で喫煙所。

業務は色々な人と対面するため、人見知りの私がなぜこんな業務してるんだろう…でも給料がいいんだよな。残業多いけど一家を支えるには充分な給料貰えてるし、ボーナスも出る。でも仕事の悩みは尽きない…若くして管理職になったおかげでごく一部ではあるがパートのおば様達から反感買ったり、同僚の使えない男は取引先と勝手に出来もしない事をやりますって約束してきて、自分では何もせずこっちが尻拭い。現場あがりの私とは違うのよ。完全に仕事量はこっちの方が多い

なのに向こうの方が給料が多い。煙草吸ってる姿しか見てないんですけど…

しまいには現場で働く男性陣は女子かのように固まって休憩している。現場から要請聞くと喫煙所にまず行く。

喫煙所に談笑して煙草吸ってる男ども

「全員で休憩してどうするんだよ!トラブルがあった時の為に交代して休憩しろ!あんたたちは女子か!」

私はキレてしまった…現場が上手く回らないと納期が遅れる。なのになんで全員で休憩してるんだよ、全く。首謀者はわかってる。

使えない同僚だ。あいつが男性陣を引き連れ喫煙所に誘ってる。

「石渡さん、大変だね」

誰も居ないかと思ってたのに…大田さんが居たー

「いつもの事です。何回言っても聞かないし、本当疲れます…」

「なんか飲む?奢るよ」

「いいのですか!」

「もちろん」

「ご馳走様です」

私が家を支えてるけどほとんどが生活費。自分のお金なのに小遣い制て…

なので正直凄い助かるのである。

気付けば私が休憩してると大田さんが喫煙所に来るように、私も彼が居ると喫煙所に足が向かう様になっていった。

お互いの恋愛事情、仕事の愚痴、たわいもない話。

距離は自然と近ずいていたけどお互いに相手がいる。連絡先など聞かずただ仕事場で話すだけ、でもお互い意識してるのを感じている。彼の姿を探しているのがわかる。

大田さんは私と違い土日休み。土日の仕事が少し寂しい気がしていた。

平日にしか会えないからだ。

私は彼を好きになってる?人を好きになった事がない私はこの気持ちに戸惑っていた。

自分に彼氏が居るのに…私は別の人が気になっている。

でも相手にも彼女は居る。どうにかなるものじゃない。なぜ気になるのだろう。どこがいいんだろう。そんな事を考えても答えなんか見つからない。

2022年2月15日公開

作品集『この世で最愛で最低な君へ』第6話 (全28話)

© 2022 実琴

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