遭いに故意

涼平

小説

792文字

私が1番可愛い、

下地、首まで塗るファンデーション、コンシーラー、アイシャドウ、長めに引いたアイライン、いつもより少しだけ濃いチークと真っ赤なリップ。

 

”今日は朝まで女子会だから、写真撮ったら送るね”

彼氏に送ったメッセージは真っ赤な嘘、今日はインカレで知り合った顔がタイプの男と食事。会う理由なんて、顔がかっこいいから、それだけでいいのよ。片道20分の電車に揺られ、女子大生Kは駅前の待ち合わせ場所に降り立つ。午後7時20分。待ち合わせの時間より少し早めについて、化粧直し、今日のコンディションを化粧室でチェックする。今日は二重幅の調子が良くない。そんな些細なことで、いや、私にとっては重大なこと、早く帰りたい気にもなってくる。

「おまたせ、待った?」

男が背後から声をかけてくる。今日の男だった。モデルのような体型に大きな手、甘いマスク、やっぱり素敵。

「こんばんは、予定よりちょっと早く着いちゃってたのでそこのカフェで休んでました!」

また嘘を吐く。

「ごめんね、待たせちゃって。じゃ、行こっか。」

男は大きな手を私の手に添えてそのまま握ってきた。このタイプの男は女慣れしている。正直、生真面目でつまらない私の彼氏より数倍刺激的で良い。私もそっと手を握り返し、そのまま歩いた。好きなお酒は何だとか、おつまみで絶対外せないのは何かだとか、他愛もない話をしながら大通りをいつもより遅めの速さで歩く。すれ違ったあの女、私のことをやたらと見てくる。やはり顔の良い男と並んで歩くのは楽しい。いつもとはちょっと違った優越感に浸れる。街ゆく人々が私に嫉妬している、そんな気にもなれる。私にとって、男はアクセサリー。私の気持ちを上げてくれる道具みたいなものだ。可愛い私には、そのアクセサリーが誰よりも似合っている、そう確信していた。

「行きつけの居酒屋があるから、一軒目はここにしようか。」

 

2021年8月11日公開

© 2021 涼平

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