空から落ちてきた黒い羽根。カラスの羽根だった。空を見上げると円を描きながら飛ぶカラスの群れ。その中心にラゴが居た。空からは俺達の事が見えていたらしい。
「ルタ!貴様は主に下心が芽生えておったのか。」
「はっ!下心?それはお前も同じじゃないですかい?」
ラゴはルタから俺を奪い取り、ぎゅっと抱きしめた。もう離さないとばかりに強く抱きしめた。顔は相変わらずカラスの仮面で見えないけど、殺気立っているのは分かった。
「ルタ。貴様は神で居る資格がない。もう、貴様とは縁を切ろう。」
ラゴがヤツデの葉をルタに向けた。何か嫌な予感がする。このままだと、みんな離れ離れになってしまう。そう思った俺は口を開いた。
「待て!ラゴ、ルタ。お前達はどうして俺と一緒に居たがるんだ?」
その声にラゴとルタの動きが止まった。しばらく沈黙が続いた後、ルタが答えた。
「分からないんでさあ。でも、旦那をあの神社で初めて見た時、懐かしい気がしたんですぜ。」
「始めはルタが主の存在に気付いた。主に呼ばれる前にな。我も懐かしさを感じた故。」
ラゴも答えた。俺に懐かしさを感じる。どういう事だろうか。
2019年1月28日公開 2019-01-28T10:46:12+09:00 2019-01-31T15:56:50+09:00
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