医者と妖怪。

松野焔楽

小説

6,342文字

主人公の白金勇希は精神科と外科を掛け持ちしている23歳の医師。自分の患者であり、親友の2人を殺人鬼に殺され、今日は2人が死んで3年後の命日。墓参りを終えた帰り、神社の境内で勇希は三尾の狐ルタとカラス天狗ラゴと出会う。ルタとラゴは死んだ親友2人に何処か似ていた。そんな妖怪との出会いから1ヶ月の間に、勇希に起こった奇跡の物語。
(現在未完成です。)

自宅付近には大きな古い神社がある。昔は良く、此処の神社に樹流と龍大を誘って遊びに行ったものだ。遊びに行っても、各々好きな事をするだけだったけど。久々に神社の境内を歩いてみた。大きな御神木。昔、これに登って、神主さんに怒られたっけ。木登りが得意な樹流でも、高い木の上から下りる事が出来ずに泣き喚いてた事もあった。
今日は風もないのに御神木がガサガサ揺れている。誰かが木に登って遊んでるのか。昔の俺のように。スタスタと獣が歩くような足音。カランコロンと下駄の音。1人じゃないな。2人居るらしい。
「誰だ、木に登って遊ぶ奴は!罰が当たるぞ!!出て行け!!」
神主さんの真似をして、俺は木に登っている奴に怒鳴った。
俺の声が境内に響き渡り、それが止むと御神木から現れたのは三尾の狐とカラス天狗だった。
「我々の憩いの場から立ち退く理由が何処にあるというのだ?」
そう言ったのはカラス天狗。俺より少し背が高くて、顔はカラスの仮面をしていたから見えない。疲れているのか、幻覚を見てしまったか。溜息を吐くと狐面を付けた三尾の狐が近づいて来て俺の顔を覗き込んで言った。
「旦那。溜息吐くとシアワセが逃げやすぜ。何か悩み事ですかい?」
三尾の狐が俺の周りに纏わりつく。尻尾がふわふわして温かい。熱を持っているという事は幻覚ではないのだろうか。

2019年1月28日公開

© 2019 松野焔楽

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