三井希子って何だったんですか？

貴志祐介、「黒い家」と「青の炎」は読んだことがある。他も読んだことがある気もしたけれど、忘れた。貴志祐介は殺しの描写が秀逸だと思うが、今のところ出てきていない。クライマックスで殺人の回想シーンが入ると思う。これは推理に入りますか？

とりあえず読んで思ったこととしては、千春が良かった。千春はなかなかですね。なかなか味のある娘だ……。千春は英之のストーカーで実は面識がない、と序盤で思ったが、そんなことはなかった。

それにしても、千春の執着の凄まじさはなかなかなだ。英之とグルだとは思う。コンビニ店員を付きまとっていた話で笑っていたり、殺害現場の近くに来た時に動揺していたのは不自然だ。ストーカーすぎて英之の代わりに復讐として叔父を殺してしまったのかと思ったけれど、英之視点の話を読む限り、英之が叔父を殺しているのはほぼ間違いないので、共犯なのだろう。よく知った場所なのに歩く方向を間違えるのは明らかに怪しい。英之視点において、めちゃくちゃ不自然な言動が多い。千春は愛故に共犯。一方、英之はそんなに千春のことを愛していなさそうだ。取り調べの時も全然思い出していなかった。愛しているなら思い出すでしょ！　復讐のために利用してるだけ？　英之は千春を使って叔父を殺したのか。代理で殺させたわけではなく、アリバイやトリック作りに一役噛ませている、みたいな。

弁護士も怪しい。謙介に問い詰められた時の言動がのらりくらりしている上、遠回しにイエスと言ってるようなものだ。普通に英之に協力してるのだけなのはストレートすぎるので、もう一ひねりありそうな気もするけれど、とりあえず英之のグルではあると思う。こうなるとグルが多いな。英之が薄氷を駆ける兎だとして、兎の応援団が結成されている。団、というほど人数でもないが。団と言うならもう少し人数が欲しい。謙介も最終的に応援団に取り込まれてしまうというラストでも良さそうだ。それでお願いします。字面はかわいいが、やっていることはえげつない。

そして、ここまで検察側がコテンパンにされたら、もう絶対無罪だ。警察の暴力的な取り調べも問題視されるとは思う。しかし、このままでは父の過去の冤罪を取り上げる間もなく無罪になりそうなので、本当にそれでええんか？と思う。もうちょい場を荒れさせないと父親の復讐は果たせないんじゃないか。この話を読む限り、弁護士も検察官もやたらと感情的だったけど、裁判って本当にこんな感じなのか。もう少し理性的に話して欲しい。裁判はもっと文明的なものであってほしい。本当にこんなのだったら英之じゃなくても絶望する。エンタメとしては良い。小説として私たちを楽しませるためにこんなに感情的になってくれているんだと思いたい。

つまり、この話は兔の応援団が薄氷を駆ける兔を応援する話である。良い感じの掛け声が思い付かない。うーん。フレフレ！　ピョンピョン！