深い墓は無かった

名探偵破滅派『龍の墓』応募作品

山谷感人

エセー

1,563文字

 破滅派・探偵参加文。ネタバレ注意。

 先ずは、三十八章で「ゲーム内の論理で犯人は特定が出来る」云々、の挑戦状が書いてあった故、そこから推測した。何れにしろ、ミステリーは動機を探るのが筋である。そこから犯人に辿り着き、トリックなぞは二の次だ。そこの貴方、トリック使いたいからと人を他殺しますか? 故に簡単であった。
 犯人は、エミリア。
 旅の理由に、父の敵を搜している、なるフレーズが有る。他は確固とした旅の目的がサブゲームとしての主人公以外ない。そうして領主と執事も若い頃はヤンチャの無頼漢なる旅をしていたなる下りががある。そこで理不尽に彼等に父を殺害か嵌められて自死に追い込まれたのであろう。復讐を遂げた訳だ。
 最初に殺害されたキャラは所謂、山師みたいな存在なので、手を貸していたのだろう。屋敷に入った順でも、その山師、山伏ごっこみたいなお馬鹿を探り当て、尾行か篭絡しての流れであろう。
 次にトリック。
 これは魔法を使えば興醒めする故、用は先に所持アイテムで提示されていたユニコーンや粘土を使えば簡単である。凶器を残さず殺害したり逃げ道を防ぐ、なる箇所はアイテムの属性であるし誰もが所持が出来る。深い推測は不可であったが二の次だ。
 まずゲームの流れとしても初期、そのアイテム探し旅を長々と説明している時点で「はいはい」となる。丸焦げになるとか、カードが云の々謎は滝川も何度も述べていたように「ゲームの世界の事件だから」で終わり。派手な演出なる訳である。バーチャルの。

 では、本題の現実事件。
 此方は規定枚数まで、なかなかヒントが薄かった故、逆に大丈夫か、この作品? と思ったが最後に出てきた三人の内の誰かが犯人でなければアンフェアになる。
 無論、ゲームを現実に模倣させた、なる設定だろうから、或る程度、リンクしていなければ、これは作品としとペテンになる。違ったらミステリにならない。街なかに有る、不健全図書ポストに投げ入れるレヴェルだ。
 動機は矢張り、アイドル自決のsnsだろう。現実の動機としと弱いが規定枚数からラストまで残り枚数僅か。この後、実は〜みたいな展開は二度目、アンフェアだろう。
 と、なると三人の中で一等、感情を露わにしていた、吉川でしか、非ず。
 トリックは?
 この作品で滝川は「所詮、ゲームだからアリバイは関係ない」なる言動を多々、伸べていた。然し、近未来の世の物語である。防犯カメラやメガネなんちゃらで即、ソレは把握が出来る筈だ。唯一、確固としたアリバイないのが、吉川。
 では、骨折しているのに頸を絞めれるか? 簡単で有る。滝川がゲーム中に我々、読者に何度もヒントを与えている。曰く「ゲームの世界には時間の概念がない」 ゲームの世界。現実には時間の概念がはある。リアリティとして他者の目からアリバイを隠せないなら三十九章、冷房で犯行時間を誤魔化したしかない。要は吉川はゲームの見立てをしながら殺害順番を変えた。骨折する前に埼玉へ、次に荒川へ行った。ポリスにテレフォンしていたのも荒川が先に逝ったなる工作だろう。カードの件は良く判らない。外での事案な故、私の人生みたいに、風に飛ばされていたのかも、識れぬ。
 然し、そうなると、フェイプレイとして矢張り、ゲームの犯人は商人でした! なる可能性も残る。まだ漠然としている故、またゲームだから……で覆される可能性も無きに非ず。

 最後に。
 動機がアイドルへの復讐で終わったとしたら、短絡過ぎである。
 事情は違うが例えば、私が往時、一緒に暮らしていた愛猫が毒やらで殺害されていたとしたら(完全・室内暮しだから無いが)私は間違えなく其奴をヤッた。然し最早、時間は流れている。まだ結末は判らないが、掛けているかもであるがアイドル、所謂バーチャル世界が動機だとした完結ならば、貫井徳郎は編集者からゲームうんちゃらを呈示されての、やっつけ仕事だったのかも識れぬ。

 

2024年6月1日公開

© 2024 山谷感人

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