誹謗中傷ダメ! ゼッタイ!

名探偵破滅派『観測者の殺人』応募作品

曾根崎十三

エセー

1,719文字

4月名探偵破滅派課題図書「観測者の殺人」の推理です。

批判と中傷は違うのだが、最近どうもその点の考慮がない話が多い気がする。この話に限らず。関係ないけど

RedBirdが猟というのは分かったが、出題範囲の中で明らかになったので、あとは何を予想しようか。割と謎はもう解けている気がする。どんでん返しがあるようなので、何がどんでん返しされるのか気になる。何なんだろう。夢オチとか?

 

裕福と言いつつ両親が全く登場しない唯ちゃんの家庭は、両親の正体を隠すためだったのか、と思いつつ、それにしても実家暮らしの大学生で娘が大事件に遭遇しているのに一切両親の存在が出てこないのは違和感があった。また、陽子の両親もあまりに出てこないので亡くなっているか不仲なのかとも思ったが、一人暮らしを許してもらっており、唯が陽子の家に入る承諾を得られる程度の距離感の仲ではあるので、娘が首をぶった切られて殺されているのならもっと存在感が伝わらずにはいられない状況になると思った。これも何かの伏線? それに首を上手く切断するには結構な労力と技術が必要だ。固定して鋸や鉈でギコギコいくか、ギロチンや斬首刑みたいにスパッと行くか。モーターで自動で動く刃で切れるものなのか。めちゃくちゃデカくてめちゃくちゃスピードが出るやつなのかもしれない。しかも被害者は座っており、首が多少は動かせる状態にあるようだったので、かなり切りづらい。背骨の境目の軟骨に上手いこと刃が入らないと切断ができず被害者を長時間苦しめるという。ひょっとすると、大事な部分だけズレないように固定されていたのかもしれない。とはいえ即席の装置だと、ガタガタの半切れぐらいになり、より凄惨な現場になりそうな気がする。ほんと、生きたまま首切られるって怖すぎですね。

ボカロPとかYoutubeとかツイッターとかLINEをイメージしたものがゴリゴリに出てくるのが現代的だと感じた。作者は私と同世代か1世代くらい若い人だろう。たぶん90年代生まれだ。さらに若かったらTIKTOKとかインスタとかショート動画とかの方にいくと思うので、そこは推理できた。

読んでいる最中に引っかかりが多く、ミスリードなのか、そういう作品なのかが分からない点が多い。

まずQオブザーバー。開発者が否定している存在なのに実在しているようだ。位置情報は切れないのか? 位置情報OFFにしたら良いのでは? 最近のスマホはなんでも許可しないとアクセスできないのに、そんなことが可能なのか?なりすましアプリで許可させれば可能かもしれない。確かにGPSを切っていても受信している電波からおおよその位置情報は分かるが、結構ズレる。っていうかほとぼりさめるまで電源切ってデジタルデトックスすれば良いのでは。加速度センサーまで認知できているようだし、統合失調症患者大混乱の技術だ。

個人情報を軽々しく漏洩する警察官や、故人の裏垢を軽々しく赤の他人に教える恋人や、そもそも顔見知りのクラスメイトの兄と軽率に接触する女子大生も違和感がある。退去前に殺人現場に軽々しく一友人が入れるのも謎だ。首をぶった切られたということはスタジオ部屋は相当とんでもない状態になっていると思うが、そんな短期間で「業者によって綺麗に拭い去られる」のだろうか。床にとどまらず天井も壁もとんでもないことになっていると思うのだが。

現代ってこんなもんなのか。裏垢なんて少なくとも家族と恋人には絶対教えない。これは個人の価値観かもしれないが。

 

ということを踏まえ、「すべて唯の妄想だった」説でいこうと思う。

陽子の死体を見つけるシーンが明確に描かれていないのもそのためだ。陽子は死んでいない。陽子は志半ばで事故にあって意識不明の重体になっており、これはそれにショックを受けた陽子が作り出した物語なのだ。唯は精神を病み、アカウント名から端末情報を抜き取れる「Qオブザーバー」の妄想に駆られる。陽子と両親以外は実在しておらず、すべて唯が生み出した空想の人物。そのため、不自然な部分が多い。猟も「RedBird」のアカウントを見て唯が想像した、アカウントの「中の人」である。紫音は実在するクラスメイトなので、紫音が妄想を妄想と気づかせるきっかけになる。

2024年4月3日公開

© 2024 曾根崎十三

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