指定箇所まで読むと、一通りの真相は明かされている。
となると、推理というよりは、この物語をどう収めるのかといったことがポイントだろう。
推理小説は、真相が明らかになれば、その他の諸々も解決つくというのが定番であるが、本作もどうも違う。主人公は怜としてよりも「レイア」として生きたがっている。
ならば、もう一回逆転させる方がいい。
しかしながら、最終章一つ前の『レイア 二』で、犯人まで明らかになっており、今の現実の方が幻だったともっていくのは難しいように思える。
そこで、歪な形での解決を考えてみる。最終章の「ムーンレイカー」(不可能なことをしようする者)というタイトルもそれを示唆したものではないか。
具体的にはこうだ。
主人公は、原口が書いた小説を読んで、彼が「父」ではないかと感じ取る。コネがあるらしい実父を通じて、彼を呼び出す。サインを書かせるくらいのことはできるらしいし、それなら、原口としてもあまり警戒はしないだろう。
こうして、別荘から呼び出された原口は、主人公に尾行され、別荘で襲撃される。そして、再び「父」と「レイア」の生活を主人公に強要されるのだ。このとき、主人公は原口の眼を潰し、視覚を奪う。なんなら聴覚も奪う(最初の方に出てきた盛り上がるインクのペンで筆談すればよい)。これは逃亡防止と世界を改編するための方策なのである。そうして、「父」と「レイア」の世界を再び作り上げるのだ。
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