先ず以て、幽女が居たら無論、ミステリにはならないのでソコから考察する。
この作品は僕にとっては時代文芸と思えた。規定枚数まで拝読し「もう犯人ナシ!」で良いのではないか? と。伏線は素晴らしく諸々あり多分、読了したら「成程」となるだろう。そうして初見の作家だが言葉遊びが秀逸だなと、感じました。
敢えて犯人を挙げるとすれば桜奴だろうけど……。何回も同名にて未遂で終わらない。
幽女の正体。それは遊郭で営みをする女性と男性が生きる為、一人一人が自分を守る為にした嘘の連鎖でしかない。何か有れば「魑魅魍魎」の仕業にしとけば自身と周囲に害が及ばないからである。或る意味、emptyな世界を築かなければ遣っていけない。只でさえ苦界な故、現実スルーは必定。そう考えれば、この作品は同一犯人ではなく自死も含まれた物語で、完全な結末は置き去りになっているかも識れぬ。故に「犯人ナシ!」で、もういいのではなかろうか?
然し、コレでアップすると破滅派・主幹に殴られる怖れも無きにしも非ず。少し動機を考える。
作中、重要な箇所は第二部だと思う。矢鱈に「兵隊さん」の記述が有るので、もしかしたら廓全体で「兵隊さん」を庇っていた可能性もある。兵隊さんの物音しても幽女の所為にすれば良いし痴情のもつれか? 彼が他界した(だろう)後のタイミングで。様々なトリックについては要は同じ人間と二度と共犯をしなかったら何とでも出来る。最後は「幽女の所為だ!」の集団催眠で幾らでも「そだねー」になるだろう。コレもテーマかも判らないが「全員が嘘をついている」クセが強い隠し事もあるだろうで済む。
ふと思い出した。
キリスト教の女性が多分、最後の鍵になるだろう。嘘、つけないから。
では、私事ながら自身、全治2ヶ月の骨折をしている為、甚だ適当な推察になったが、ソコまで的は外していないと自身を鼓舞し続きを読もう。
赤線、青線については南千住に住んでいた往時、五人しか座れない焼き鳥屋の親爺から懇々と、その歴史を語られた追憶があり、今、生きていたら百才くらいになり有り得ない故、夢に出て来て私を、うなさない事を願う。
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