テーマ「これがホンモノの日本人」(8)

moonkaguya

小説

2,275文字

考える基礎、生きる基礎

でね、
なにが凄いかって言うとね
予算が無いわけよ、NASAみたいに、
NASAだったらば、とんでもないカネをかけてやるわけ
予算が無いわけニッポンは
で、ロケットも大きいのがないわけ、
大きいロケットがないって事は
重い人工衛星あげらんないって事
そーすと、ちっちゃなコンパクトのものの中に色んなものを詰め込まなくちゃいけないわけ

本来はカメラ2台必要なんだって
所謂、方向を決めるのと、写真を撮るのと、
それを一台で供用しなくちゃいけない
そういった事を全部一個一個潰していって実現したわけ
そーいった努力はあとになってわかったけども
当時は分かんなかったわけ
で、文科省は全然協力的じゃないわけよ
こんなうまくいくかどうか分かんないし
失敗したらヤイノヤイノ言われるから
こんなプロジェクトやめようと思ってた訳本当は
それを、うまい事誤魔化して、この人達が頑張ってきた

でね、なにが凄いって
内之浦で打ち上げるでしょ
内之浦の漁業協同組合が全面的に協力してるわけ
何故かって言うと
ロケット打ち上げる時は、第一弾が落ちるでしょ、カラが
その間は漁業出来ないわけ、海に出れない
そういう事で、交渉して、いついつは打ち上げますんで
このカンは漁に出れませんが、お願いしますよと

そうすると、漁業の組合長が、うん、ま、しょうがねーなと
そったら事じゃしょーがない
そったら事って言ったかどうか分かんないけど
しょーがねーと、いう事で

また計画が変わるわけ、
すいませんちょっと開発が遅れまして、
三カ月先になります、

また変えるだかよ、と
それでも、東大大学院出の連中が5人も、6人も行って、
菓子折り持って、頭を下げて、漁協のおじさん達や婦人部のおばちゃん達と仲良くして
大酒飲んで仲良くして、了承を取り付けて、
毎回毎回変更があるのを認めてもらって
でもーねー、家族づきあいになっちゃって
内之浦で前夜祭をやるんだって、打ち上げの前夜祭

もーね、全員で片組んで「かえってこいよー」、って歌うんだって
まさしくハヤブサ帰ってこいと歌ってる

一番土着の土地の人と、ニッポンの最高峰の科学者達が協力してやったのが
このハヤブサなんです

で、これを見る限りは我々ニッポン人は捨てたもんじゃいと思った
これはいけるなと思ったね
この人達は、決して給料は高くないよ
公務員だけども、公務員としてちゃんと給料もらってる人は半分しかいないの
あとは臨時雇いとか、研究生とか、研究生なんてのは給料基本的になしよ
どーすんの?
夜、バイトしてるんだってコンビニで
夜バイトしてコンビニで稼いだカネでもって
仕事場に行って、博士論文書いて、
で、さっきの漫画も描いて、そういう努力をたくさんの人がやって
その成果としてハヤブサが成功したわけ
で、その人達にとってはね、カネなんて、なんの興味もないわけよ
地位もなにも興味もない、やりたい事をやる
自分がやりたい事をやるチャンスを与えられた、こんな幸せはない
もー徹底的にやる、それがひとりひとりがみんなやってくれた
その結果としてハヤブサが成功した
もーホントにね、実は失敗しそうなチャンスが6回くらいあった
それを一個ずつ乗り越えた
さっき言ったでしょ、最後エンジンが全部壊れた
それをなんとか全部つなぎ合わせて、
エンジン一個だけ生き返らして、帰ってきた

それも実は、ほんとは回路の設計には入ってなかったはずなの
つまり
余計な部品を入れると重くなるでしょ?
入れらんないはずなわけ
本来ならば、計画通りならば、帰ってきてない
ところが、それをよーく考えた科学者が技術者の人が、
一個だけ電子部品を入れといたわけ

つまり、つなげなられるように
バイパスが出来るように、ちょっとだけ細工をしておいた
誰にも言わずに、それが無かったら今頃帰ってないよ
そういう事なわけ

そして、この大偉業は、さっき言ったように人類初なんですから
地球外物質を地球に持ち帰ったのは、ハヤブサが世界初なんですから
本来はハヤブサに関係した人間は、全員ノーベル賞を貰うべきなんです

そらね、
あの月に行ったふりをした連中と比べてみて下さいよ
どっちが優れてるか
月を行ったふりをして40年間嘘をついてる、
これはこれで凄いと思うよ、素晴らしいと思うよ
本来ならば、あのままアポロ計画を続けていれば、
今頃、月の上には宇宙基地があって、月生まれの子供がいるかもしんないね
ところが全然そうはなってないじゃないですか

あれは40年間行ってないってのは
行ってないから、行けないんですよ

だから我々のこのハヤブサの成功をNASAの連中はなんとも言えない顔で見てると思う

宇宙というのは、宇宙線に満ちていて、宇宙に長い事滞在すると被ばくして死んでしまうんです
つまり、電子レンジの中にいるのと同じなんです
従って人類は宇宙に行けないんです

ほかに方法があれば別ですよ
例えば、幅が1メーターのある水タンクの中で、こー歩く
これならば中性子線は防げます
でも現実にそんなね幅が1メーターある水タンクなんかをね
ロケットで打ち上げられるわけないじゃないすか

という事は、人類は宇宙には出て行けないんです
せいぜい地球の周回軌道を回ってだけなんです
現実そうでしょう、今やってるのも、なんとか計画ってのも
全部結局、地球の周り回って戻ってくるだけじゃないすか
それ以上の事は出来ない
やってもそれは全部無人でしょ?
つまり、人間は出て行ったら死ぬんです

アポロで死ななかったのは、行ってないからです
だから同然ながら、皆さん方が大阪万博で見た月の石は、その辺の石ころです

本物の宇宙の石は、我々ニッポン人がイトカワからもってきました
これを忘れないで下さい
誇りに思って下さい

2023年7月10日公開

© 2023 moonkaguya

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