終点と一撃だけのリスク管理……。乗り込むベッドの下と市長による講義……。加速するタイヤの泥水と回転するスペックたち……。手術の痕の香りや男たちの複雑で黄色い人間関係……。
「ポタージュ?」
「それか、呪縛……」流れていく室内の声……。屋上に登るまでの階段と野菜の緑色……。
異例のカジキと海に到達したヘリポートに、髑髏の色を知ってしまった小学生が二本指で立ち上がっている。おれはそんな彼のすぐ横で屈伸を続け、男の臭いに引き寄せらせた重罪に貼り付けを行う。すると二階の隅から偶然の産物が盛り上がってくるので、おれは嘆いてから飛び降りる。
一階の硝子の上で少女が質問を投げてくる。
「どうして朝食を抜いたの?」
「腹に肉が溜まっていたから」
おれは夕日の向こうから続いて来るコートの男の仮面に唾を垂らして顎を摩る。
伸縮した後の酒とアルコールの香り……。残った叫び声とコンビニエンスストアの制服……。事情聴取の時間や落ち着きの無い男児……。配られた弁明と二度目の地震……。
昆虫的な効率的で黒色の隙間だらけの無機質な滑り台……。それに跨る少女と男のダンス……。おれは西の向こう側からそれらを観察してからこみ上げてくる吐き気にゴキブリを垂らす。穴の中の巣に人形を放ってから野球の選手になりたいことを宣言する。「オフィシャル? いいえ、私たち」
さらにオーロラソースをかけている老婆の刺激的で断絶された存在……。ブザーの音と震災の欠片に加え、男の足跡を加減する火炎の手……。児戯をスケッチする街並みのヘルメットに付着した鍵。
集合した心臓と光っている研究者……。特急の速度と路線に紛れ込んだ神父……。「一体何着入っているんだ?」
壊れていく臓物の香り……。掃除されている陳腐な風……。流れと天井と鼠による合唱。後日談に飛び込んで洞窟に光源を呼び込むドア……。洗練された肉体と瘡蓋だらけの味噌……。「週末、空いてる?」
「鍵ならかけていないわよ?」
すれ違う男たちと立体的な文書。次々とやってくる二足歩行の百足。虹色の頭を持つ二等兵。記憶喪失のロボット。データだけを置いていく主婦。ドアを開く心臓への執刀医。
そしてコンビニエンスストアに出向くペンウィー医師。
「はは、いらっしゃいませ」という呪文のような古い風習の中で女性店員がペンウィー医師に投げかける。
「ああ、どうも」ペンウィー医師は無いはずの丸眼鏡をクイと上げてからカウンターの向こう側に入り、煙草を勝手に持ち出して去って行く。途中で虹色に輝くルブロンオオツチグモを踏みつけ、冬の寒い空に出ていく。
「はは、ありがとうございました」
"逡巡する地球儀と果てしない無駄な目次。"へのコメント 0件