1か月ほど前に痛風になった。文学的死を遂げた友人から「痛風は痛いぞ」とは聞いていたけど、実際なってみると痛いなんて簡単な言葉で済まされる痛みじゃない。以前、帯状疱疹が顔に出来たとき、顔面を剣山で刺され続ける痛みに悶絶したことがある。これ以上の痛みはこれから先の人生で経験することは無いだろうと思っていたが、痛風の痛みはそれをはるかに超えていた。何もしなくても自然に「ああっ」「ううっ」と声が出るほど痛い。ほんとうは大声で「痛てえ!」「死ぬほど痛てえ!」って叫びたかったが、集合住宅居なので声を殺して「ああっ」「ううっ」と悶えた。患部にロキソニン湿布を張ってロキソニンを飲んでも効果がない。ダブルロキソニン効果なし。人間は一定以上の痛みを感じると脳内で麻薬的な何かが出て痛みが和らぐとか聞いたことある。通風の痛みは恐らく麻薬的な何かが出ないギリギリラインの痛みなのだろう。この痛みから逃れるには眠るしかないと思い起きたばかりだったが睡眠薬をたらふく飲んで眠気が来るのを待った。けれど痛みが酷くてそんなもの来やしない。起きてると当然生理現象が来るわけで、歩くことなんて出来ないので両足を上げてお尻歩きでトイレに行き、ドアノブを使い立ち上がり極力患部に刺激を与えないように便座に座って用を足す。そんなとてつもない痛み。私は持病持ちだから定期的に血液検査をしていて、2年ほど前に急な血液検査で検査前の儀式をしなかったことがあり、尿酸値が11、γ-GTPが250あって先生にひどく怒られて禁酒するように言われたことがある。しかしアル中を長くやってるゆえ禁酒なんて出来るはずもなく、ビールは極力飲まずにプリン体の少ないチューハイやハイボールを飲むようになり、尿酸値は下がるは下がったが8.5前後を推移して、それ以上は下がらない。そのうち痛風になるだろうとは思っていた。あ、そうそう、検査前の儀式についてだけど、γ-GTPを下げるために血液検査をする5日前から禁酒すると平常値の120前後になる(持病の薬を沢山飲んでるから私の平常値はこれくらい)。個人差があって平常値に戻すのに1週間から10日かかる人もいる。私の場合は5日で大体平常値に戻る。だから肝臓の数値で引っかかる人は検査前に1週間禁酒すれば再検査にならない(これってトリビアになりませんか?)。けれど尿酸値は付け焼刃の儀式では下がらない。アルコールを止めれば解決するのだろうが、意志が弱いから禁酒することが出来ない。アルコールを飲まないと死にたくなるからね。話がそれた。痛風発作で悶絶してる時にLINEにメッセージが入り、見ると文学的死を遂げた友人から「今からチープトークしないか?」と書かれていた。痛くてそれどころじゃなかったが、そう言えば以前、彼が痛風になったことを思い出し、痛みが和らぐ方法を聞けるかもしれない思い電話することにした。彼との通話は必ず彼が最初に「ロック、ロック」と言ってから始まる。私も「ロック、ロック」と返して痛みに耐えつつ小さくメロイックサインをして話し始める。これも儀式だ。それから痛風の痛みを和らげるにはどうしたらいいと聞くと、「カルアミルクを飲んで患部を揉めばいい」とアドバイスしてくれた。痛みに耐えつつチープトークを数時間して電話を切って患部を揉む。「痛てえ!」「死ぬほど痛いてえ!」。うるさいとか通報されないかとかいった心配は忘れて痛みが和らぐならと叫びながら患部を揉んだ。電話が終わってから直ぐにネットスーパーで注文したカルアミルクを飲みながら、激痛に耐えながら患部を揉みしだいて過ごすこと3日、なんとかびっこを引けば歩けるようになったので病院にいった。そこで先生にこう言われた。「痛風発作中に患部を揉むなんてとんでもない、絶対してはいけません」。
――了
山谷感人 投稿者 | 2022-06-15 19:44
淀みないエセーを拝読して。
ガンマは大丈夫だけど(トリビアは肝臓で入院歴アリでは常識)尿酸値が高いね。
痛風より尿管結石がより地獄らしいので、お互いに気を付けよう。