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【 30秒で読める話:05】株は最高!

taro-nagahamada

この作品は本当にすばらしいんです、読んでください!

小説

584文字

【 30秒で読める話:05】株は最高!

 

「君らの株は確保したから」と部長は言った。

タダで貰えると思い、ぼくらは軽い気持ちでサインした。それが間違いだった。

 

翌月、給与明細を見て社内がざわついた。

「天引きだと説明したろ。会社の株だ、処分はするなよ」と部長は平然と言い放った。

ぼくらは社畜の運命を嘆き、しこたま飲んだ。

 

いつしか株のことなど誰も話題にしなくなっていた。

ある日のことだった。

株価が連日のストップ高だと同僚が教えてくれた。

含み益は年収をはるかに超えていた。

 

「これなら……」と同僚は震えながら言った。

 

社内は株価の話題でもちきりだった。

誰もが仕事そっちのけで白昼夢のなかにいた。

「カンクンに行く」

「仕事辞めるわ」

ギスギスしていた社内には、南国のそよ風のような余裕すら漂った。

 

そして、破滅が来た。

今度は連日のストップ安。

資産は音を立てて崩れていった。

買い手がつかず、処分すらできない。

 

昼から泥酔する者、静かに縄を編み始める者――。

 

阿鼻叫喚のオフィスで、部長だけが頬をてらてらと光らせて笑っていた。

いつの間に買ったのか、高級車のキーが低い腰で揺れている。

 

翌朝、部長は厳しい顔でオフィスを一瞥した。

「お前ら、最近たるんでんじゃないか? 愛社精神はどうした! 仕事しろ、仕事」

© 2026 taro-nagahamada ( 2026年10月2日公開 )

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