50年後の世の中

加羅戸麻矢

421文字

前回初めて詩のジャンルで「カエルの詩(うた)」を投稿しましたが、初心者ゆえ間違えてリンクを張ったり「表象の森」を誤変換で「表彰の森」としてしまったり失敗ばかりでご容赦下さい。今回も定型詩からかなり逸脱した妙ちきりんな詩で恐縮です。詩人長田弘の「クロワッサンのできかた」や「誰が駒鳥を殺したか」やペソアの「不穏の書」、朔太郎の「月に吠える」が好きなもので。

50年後の世の中           加羅戸麻矢

50年後の世の中を知っていますか
ひょっとすると宇宙葬がデファクトスタンダードになって
人間を卒業したら夜空の星に散っていったり

白寿を疾(と)うの昔に迎えた人たちが、
有機体の臓器と金属や樹脂でできたデバイスで
ハイブリットアクチュエータとなり、
街を一日中元気に闊歩しているかも

科学瓶に漬けられた大脳と、
電気的な会話を楽しむ人がいる一方

古びて朽ち果て腐りきったシャッター通りの奥で
「あなたの魂も質入れできます」という張り紙付きの、
ひっそり営業している質屋から、
魂を質入れした人が出てくるかもしれません
*
だけど春になると今と変わることなく沈丁花の香りが漂い

梅雨にはカタツムリが紫陽花の中でかくれんぼし

夏の夕暮れの神社では蜩のカナカナ声の挽歌が響き

秋の夕焼けは釣瓶と一緒に田舎の井戸に落ちていき

冬には粉雪が舞い降りて
お寺の墓縊死が純白の経帷子を身に纏うでしょう
*
*
(地球温暖化阻止の歌)
協賛:新××主義の輩から田舎の自然を守る会

2022年11月25日公開

© 2022 加羅戸麻矢

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