裏切者が成功し、惨めな餌食は孤独の儘、彼奴の無念の焔に焼かれ死ぬ。
しかし、私は信じよう。それが最終的には裏切者を焼き殺す、正義の焔となり替わることを。
ある朝、嵌め殺しの窓からじらりと射す曙光は、私の目に眩みを与えたのだが、たちまちそのいやらしい陽光は姿を消した。
雪は解けて、小川のせせらぎ、泥のどよめき、新芽のささやきが聞こえてくる。
私は大きく息を吸い、そして暫く溜めてから吐き出すと、そのぬくもりを大事にせず、纔かに白く瞬いて彼らは消えた。
はかない時間は全て私の目の前にやってきてはこう言う。「ああ、お前さん。如何だい調子は?……いや、いいんだ。お前さんが答えようとしたとき、その答えは既に答えではないのだよ。そうだろ?いつかお前さんは、今までの悲しみも喜びも、全て流れていき、どこかに沈んでいくことで、きっぱりそれが何か答えられなくなるし、またそれすらも忘れてしまうんだ……」
しかし私はかぶりを振らなければならない。私は今でも克明に思い出せることがある。
それは裏切者である。私を信用し、その隙に私を一度殺した彼のことは今でも鮮明に思い出せる。私を孤独にさせ、悔悲しませて殺した彼のことは今でも鮮明に思い出せる。何故なら、彼は一度だけではないからだ。それは何度もあれと同じ手法で私を殺し続けたのだ。
私は常に裏切者に襲われようとしている。今そこにはいないが、私は既に彼らの到来を予感する。そして油断したとき、彼らは私の咽喉を食い千切り、口元と咢を私の血で下品に濡らし、床に生暖かな鮮血をあやすのだ!
彼らは私の元へ来ては、必ず私に何かを強請る。最早私は一文無しなのに!これ以上私を殺そうとしないでくれ、と何度も思ったことか。
だが、見よ。あの輝かしき日の光を!あの卑し気な陽光は既に美しき無垢な存在として転生した。それは己の卑しき焔によって死に至ったからだ!
窗にくっついた無数の水滴は、あの美しい旭を受け止めて、周りに知らしめる。
だから思い出せ!あのじらりと私を眩ませた太陽を!
私たちを虐げようとするあの梟徒たちは、必ず自身の心の焔で死に至ることになろう!
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