せんせい、あのね、ぼく神さまになりたいの。あのね、ぼく、神さまになって、いっぱいすきなことしたいんだ。
うんん。ちがうよ、学校はすきだよ。ぼく、おかしくなんかないよ。ママもパパも、おまえはなれるよっていってくれるもの。ぜったいなれるんだよ。でも、せんせいにおしえてもらいなさいって、いうんだ。ひどいや、おとなって、こどもだから、おしえてくれないなんて。ね、せんせいどうしたらなれるの?
え、せんせいしらないの? 神さまだよ。ほら、どんなケガやビョウキもなおしてくれるんだよ。それに、どこでもいけるんだ。それに、みんながお金をいっぱいくれたり、おいしいたべものだってくれるんだ。なぜだかしらないけど。うん、いっぱいくれるの。
えっ、いえでもいっぱいたべてるよ。うちのママはせかい一のりょうりにんなんだ。でも、ぼくまだせかいじゅうのりょうりたべてないけどね。
えええと、ええとね。ぼくね、そう、かみさまになってせんせいをぼくのおよめさんにしてあげるの。わらわないでよ。できるんだよ。神さまなんだから。ええと、ぼくは神さまなんだ。
神さまになった、あとにどうするのって?
わかんない、神さまになるとね。わるい人をみんな月にとばして、せかいをみんな、こどものせかいにかえてあげるの。それでね、みんなに、いっぱいおもちゃもあげるの。いっぱいだよ。せんせいはぼくのおよめさんだから、とくべついっぱいあげる。
えっ、そうなの? ふしぎなことばでかかれたおまじないをいうと神さまになれるの。
ほんとう?
ぼくねいちどでいいんだ、ほんとうに神さまになって、空をとんでみたいの、くもよりたかくたべるんだよ。神さまなんだから。
なんだ、せんせい、ふしぎなことばよめないんだ、じゃ、どうして神さまになれるほうほうしってるの?
え、せんせいが神さまなの、うそだよ。せんせい、神さまなんかじゃないよ。みんなしってるよ。もう、うそばっかりなんだから、えっほうとうなの。せんせいは、うそはつかないでしょ。それならみせてよ。ぼくに、いいでしょ? せんせい、ぼく、ひみつにしてあげる。ぜったいだよ。だれにもいわない、もちろんパパもママにもないしょだよ。
せんせい、さっきいったじゃないか、神さまだって、ひどいよ。ぼくにうそつくなんて、ぼくね、せんせいをしんじてたのに、そういえば、きのう、まさゆきくんがぼくのあたまたたいたんだ。ぼくなにもしてないのに。それなのに、きゅうにたたいたんだ。ひどいよ。せんせい、せんせいもまさゆきくんとおなじくらいひどいよ。ぼくをだまして。
いちどだけおねがいきいてくれるの? ほんとう、きょうだよ。いまみせてよ。せんせい、だからぼくすきなんだ。
じゃね、せんせいとぼくでこどものせかいにつれてってよ。できるんでしょ。
えっそうなの、やっぱりできないんだ。せんせい、こまったかおしてる。できないんでしょ。せんせいは、神さまじゃないもの。
いきたいよ。ずっとずっとこどものくにだよ。いっぱい、おもちゃがあって、まいにち、あそべて、だれにもおこられないの。
おまじない、いうの? こえにだしちゃだめなの、へんなおまじない。
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