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内心について

人間賛歌(第64話)

山雪翔太

フィクションです。人間の本質とは一体何か。

タグ: #散文詩

712文字

貴方の内心はどれ程すてきな物だろう、と何度も考えた事があった

いぢらしく素敵な貴方の内心の話を私は今している。

 

所で人間という生き物はどうやら元々一つの生き物だったらしいね。前に参加した宴でアリストパネス君がそう言っていたと思う。

だから人は身体と心を求める。だが私は……

少なくとも私の場合は貴方の身体を愛す事はきっと……

ヤハウェがそう言ったでもなく、キリストでもなく……ただ私の内心の神が私に言う

内心の神はヤハウェではない……

罪であるのだ。何とも哀れだと君に笑って欲しいから……今君に言う。笑われることが救いであると思って……

 

ああしかし、君の身体を愛せぬのならば、内心の神は私にどうしろと言うのだろうか……

 

君の身体を神聖な匕首で切り裂いて……君の体内の脈々と波打っている心臓によって、君の身体は今どきどき震えている。

こんなに狭い地球上の、その上二割しかない酸素を身体に取り込み、まさに君は今生きようとしている……

そんな君のその姿は私にとってのいぢらしく素敵な内心なのだろうか……

 

もしそうだとしたら、私は今すぐにでも試してやろうとするだろう。外に出て神聖ではなくなり……いくつか命も救えたのであろう、君の血を浴びながら……

いや、きっとそれは私の求める物ではない……

 

私の求める君の内心は不可視であると、ソクラテスは言った。私は熱心なソクラテストだ……

ソクラテスよ、天のソクラテス。君の言う「アレテー」とはこの事か?

 

不可視を求める私をどうか哀れだと笑っておくれ。

いぢらしき君の内心を私はこうも求めているのだ。

 

どうか笑え……笑え神々……笑えヤハウェ……

© 2025 山雪翔太 ( 2025年6月7日公開

作品集『人間賛歌』第64話 (全69話)

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