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風が僕を撫でる

人間賛歌(第51話)

山雪翔太

色々思う事があって、外で書いて仕上げました

タグ: #自由詩

219文字

風が僕を撫でたんだ

僕が家を出て行って

新しい家に住んでいる時も。

冷たい風が僕の髪を撫でたんだ

僕が颱風に怯えている時も

その隣で今どこにいるのか

もう分からない父親が寝ていた。

ぬるい風が僕の涙を撫でたんだ

僕の昔の家の近所の赤ちゃんが

小学生の女の子というアイコンになっていた時も。

僕は一向に変わらない。

……

その時風がまた僕を撫でると

僕はきっと風なのだと心の奥深く

地下七階で僕はノートに書き残した。

……

そうしてこの地下七階の中でも

風が僕を撫でたんだ。

© 2025 山雪翔太 ( 2025年4月27日公開

作品集『人間賛歌』第51話 (全69話)

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