手が凍えて寂しい
石に触れる冷たさよ
人の墓場はもの悲しい
息までも人に支配されて
僕まで霊みたいに人を待つ
何だか人の社会と変わらない
幸せと不幸せがはっきりとして
花に飾られ、幸せそうにする墓石
草木に囲まれ、悲しそうにする墓石
でも変わらず皆、家族が来るのを待つ
人間達も皆、誰かが来るのを待っている
冷たい灰色の風が吹いて死者を凍えさせる
墓場に極楽浄土は無いのだ、皆墓場に入れば
富があろうと、才があろうと灰色の骨になって
ただ誰かが来るのをじっと待つさだめを受けおう
人間は皆、自分が一人でないと思い込んでいる
死者は人間のさだめを知り尽くしているのだ
結局死ねば骨壷に入って悠久の時を過ごす
そうしてそこから動けずに、ただ眠って
誰かが来るのを待つしかなくなるのだ
花が添えられて、墓場は人のエゴで
埋め尽くされて、見えなくなった
花は死の匂いの煙でいぶされて
石は冷たい水で洗われている
墓場は悲しみの匂いがする
墓場は灰色の香りがする
墓場はただ眠り続ける
彼はもう目覚めない
手が凍えて寂しい
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