超短編小説「猫角家の人々」その36

moonkaguya

小説

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超短編小説「猫角家の人々」その36
猫角姉妹は、つくづく思った。姉妹二人だけで、介護詐欺を仕組むのには無理がある。様々な分野の専門家を揃えなければ、効率よく、良質で大型の介護詐欺を仕込むことは難しいと。

「結局、弁護士とか司法書士とかが仲間にいないと、本物のカモの選別ができないのよー。情報収集も情報分析も私達じゃ、どだい無理なのよー。弁護士なんて、オンラインでデータベースと繋がっていて、個人の資産なんて、ワン・クリックでわかるってよ。」「介護事業だからさー、気心の知れた介護士とか看護師がいないと、爺さん婆さんの家庭事情とかをうまく拾えないんだよね。それに、医者ともつるんでいないと、爺さん婆さんの最終処分に困るんだよね。致死薬物とか、ダミーの死亡診断書とかいるからね。」「いろんな人材が揃っていないと、介護詐欺とか保険金詐欺とか、大きな仕事は無理だってことだね。」

そんな会話をしている時、自動車保険詐欺で親交のある名古屋のホース・エイジ修理工場の社長から、たまたま電話連絡があった。ここのところ、何度か連絡がある。なにやら、姉妹の最近の動向を知りたがっているようだが、目的は分からない。姉妹は、中華麺社長に、意を決して、裏ビジネスのことを聞いてみる。「あのさ、介護がらみのさ、いろいろちょっと非合法に儲ける方法あるじゃない?」

姉妹が介護詐欺に手を出していると知った社長は、「裏社会組織を紹介しましょうか?」と低い声で打診する。中華麺社長の周囲には、以前から、詐欺ビジネスに従事してきた、いわば、プロ集団がいるのだ。中華麺社長は、猫角姉妹の裏社会参入を歓迎する。実は、ちょっと前から姉妹を、裏社会の監視下に置いておく必要が生じていたのだ。だから、姉妹からアプローチがあったことは、渡りに船なのだ。

猫角姉妹が欲しがるような人材は、中華麺社長の背後の組織に、見事なまでに揃っていたのだ。保険業界20年のベテラン。汚れ仕事専門の介護士や看護師。人殺しの薬や偽の死亡診断書なら任せておけの医師。札付きの司法書士や弁護士。この裏組織と組んで、おおきな山を狙った方が、効率よく儲けられる!

だが、一体どうやって、これだけの裏稼業人材が集められたのか?組織の中枢はどんな素性の連中なのか?何が、彼らを組織に繋いでいるのか?答えは「覚醒剤」である。裏社会組織は、覚せい剤の密売を生業としている。日本国中の覚せい剤ユーザーを物色して、裏稼業に使えそうな、気の利いた風に見えるのを選別する。そして、組織に取り込む。覚醒剤使用者であるから、組織に秘密を握られている。裏切る恐れがない。覚醒剤欲しさに、必死に仕事をする。シャブのためなら、何でもする。そして、彼らに魅力的な成功報酬を提示する。シャブも金も実力次第でいくらでも手に入る。こうして、ジャンキー軍団が次第に形成されてきたのだ。

では、ジャンキーたちを統率する組織側の連中は何者なのか?簡単に言うと「朝鮮悪」である。在日メンバーが多い。帰化した元在日も混じっている。韓国籍も北朝鮮籍もいる。893がいれば、S禍信者も統率信者もいる。要するに、なにかしら朝鮮半島と繋がった連中が、組織の中枢を占めているのだ。まさに「朝鮮悪」と呼ぶのがふさわしい連中なのだ。

一方で、ジャンキーたちは種々雑多に構成されている。日本人、部落、在日….どの要素も散見される。共通点は「シャブ中」であること。ただし、あまり、薬物中毒が進行した重症患者はいない。あまり程度の悪いのを起用すると、奇行に走って計画の足手まといになるからだ。(続く)

2023年7月10日公開

© 2023 moonkaguya

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