喫茶店

hotaru

小説

357文字

読み終わった後に、心がざらざらとする作品を目指しました。よろしくお願いいたします。誰かを傷つけたり差別する意図はありません。

コーヒーのかおり漂う喫茶店『10』に通うのが
最近の僕の昼休憩の時間の日課である。

僕はいつも死角になる席で、
コーヒーを飲みながら、
カバンからこっそりと持ち出したみかんをちぎる。
八つ裂きの刑だと
心の中で呟きながら放り込む。
ほのかに甘さが口の中で広がる。
これは、社会への小さな反逆だ。

いつも死角になる隅の席で、見えないように
食べ物を持ち込んで食べているお客さんがいる。

マスターからも、レジからも死角になる席に座り、
貧乏ゆすりをしながら一点を睨んでいる。
その眼は、何かを恨んでいるように思えて少し怖く感じた。

マスターが注意して、お客は外へ出ていった。
あの人、いったいなにがしたかったんだろう。

今朝、出勤する時にあのお客さんを見かけた。
ちゃんとしたスーツを着ていて、
ボサボサの髪を綺麗に整えて、
不満そうな顔をして歩いていた。

2022年3月7日公開

© 2022 hotaru

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


4.0 (1件の評価)

破滅チャートとは

"喫茶店"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る