この世で最愛で最低な君へ

この世で最愛で最低な君へ(第3話)

実琴

小説

964文字

人を愛する事が出来ない事に惰性していた私が初めて人を愛した人は優しくて最低な人でした。堕ちていく…愛に憎悪に

私は石渡さくら25歳。会社員。女性上司の目に止まり若くして管理職になった。

会社で仲良くするのはほぼ男性。ただ仲がいいだけで恋愛感情などわかない。

と言うよりわからない。人を好きになるという事、人を愛するという事が。

それなのにネトゲで会った人と付き合ってる。いつか好きになれるかも、そう思ってた。でも現実は違った。会うことすら億劫で仕事に逃げてた。仕事してる方が楽しいからだ。職場で色恋なく男性社員達とふざけてる方が楽しかった。

同性は苦手だ。

中学の頃イジメにあっていた。私に話しかけるのが当番制のように、話しかけて来て次の日はシカトされる。そして担当が変わる。

そんな事を繰り返され、他にも靴や傘を隠されたりした。本当は人間自体が好きではないのかもしれない。それでも高校で私は変わり何とか人と接する事が出来るようになったけど、信じてはいなかった。人はいつか裏切る。心の底から信用出来たのは高校の頃に出会った親友実穂だけだった。

その為同性とは距離を置いていた。

喫煙者でもある為、休憩が一緒になるとほぼ男性なので自然と仲良くなっていった。

彼氏という関係性の彼とは月2回会えば多い方だった。好きだと言ってくれるけどすぐにSEX。しかも何回も…苦痛でしかない。

SEXはあたしにとって苦痛でしかなかった。

そんな悩み抱えてたある日、いつもの様に出勤をした。

「おはようございます」と言いながら私は事務所に入った。

すると見慣れない男性がいた。挨拶もせずに立っていた。

同僚に

「誰?」

とこっそり聞いたけど

「知らない」

と返ってきた。

挨拶もしないなんて何だこいつと思っていた。

朝礼が始まり、その見知らぬ男性が挨拶を始めた。

「今日から配属になりました、大田はるです。よろしくお願いします」

そう言って彼は頭を下げた。

さっきは挨拶しなかった癖に。

挨拶が終わり通常業務を始めようとした時

「石渡さん」

所長が私を呼んだ。

「なんですか?」

と私は返した。

「大田くん、経理の仕事するから手伝ってあげて」

と言われた。

「はぁ…」

と私は答えた。すると大田さんは軽く会釈した。

手伝うと言ってもただその日の実績を報告するだけ。実績が上がってくるのは時間がバラバラな為、毎日残業。

大田さんもそのせいで必然と帰りは同じになる事が多かった。

最初の印象は挨拶も出来ない男。それだけだった。

2022年2月13日公開

作品集『この世で最愛で最低な君へ』第3話 (全28話)

© 2022 実琴

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

"この世で最愛で最低な君へ"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る