監理

吉田佳昭

小説

335文字

結構前に書いたやつですね。

自殺を試みるとき、僕はまず世界が自身に何をしたかったのかを考える。しかしいつもその答えは得られない。まず世界が何なのかをとらえることが出来ないから。主体が掴められなければ、何一つそれについて考えても答えは得られない。しかしそれでも頑張って考えていく。そうして確信できないが、恐らくそうであろうという答えに行きつく。やっとのことで答えに行きついたと考えることが出来て、僕は喜び、自殺すら忘れてしまう。一方で、外で雀が鳴きやんでいることに気づかない。自惚れのゆえである。僕はそのまま気づかぬうちに再び淵に立たされており、またいつか同じことを考え悩む。悲しみの輪廻にあり続ける。

それは何故か。世界は自分の監視下にあり、立場がまるっきり逆であることに自分が気づいていないからだ。

2021年7月16日公開

© 2021 吉田佳昭

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