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ムエロン

合評会2025年11月応募作品

眞山大知

平成リバイバルがブームになっているので平成が舞台の作品を書きました。いつもと違いユーモアを一切排除した胸糞悪い話にしあげたので読む際は自己責任でお願いします。2025年11月合評会参加作品

タグ: #サスペンス #ホラー #リアリズム文学 #合評会2025年11月

小説

5,813文字

この街の冬の空は原則的にいつも暗い。ドブかなにかの不潔な黒をしている。

貨物用トラックがコンテナを乗せて行き交う国道四号線の館新田やかたしんでんの交差点は排ガスでいつも臭い。道沿いにあるのはカーディーラー、ヤマダ電機、パチンコ屋、ドンキ、そして幸楽苑。赤い看板はジャスコまで二十キロだと示していた――この街にいるぐらいならドブに住むほうがマシだ。少なくてもドブに住む虫けらは嫌になったら逃げだす自由がある。人間はそう簡単に逃げられない。

交差点の歩道橋を歩く。学ラン姿のヤンキーたちが飛び跳ね、歩道橋全体がぐわんぐわんと揺れていた。ワックスでつんつんに固めたりヘアピンをつけまくったりしている髪。シーブリーズのケミカルな匂い。冬なのに飲んでいるのはリプトンの紙パック。本人たちは個性を出していると思いこんでいただろうが全員が全員同じ格好をしているから見分けがつかない。ヤンキーたちは天津木村のエロ詩吟や、ジョイマンのナナナナー、ゆってぃのワカチコワカチコだったりのネタを大声で叫びながら練り歩き、ナイロンのバッグでキモオタ(陰キャなんて可愛らしい名称なんてまだ存在しない)を殴りつける。

地元で一、二を争うヤンキー中学に通っていた。大企業の支店が集まる仙台からアクセスがいいからと関東から転勤で越してきた両親がハウスメーカーにそそのかされて、こんな地盤がゆるい川の近くのヤンキーばかりいる土地に家を買った。いまだに両親にはなんてことをしてくれたと思っている。あのころは平気で弱いものをいじめ、つぶし、殴りあいの喧嘩をするヤンキーがまだ生息していたが、昭和の不良とちがい学校の権力だったり親だったりに卑屈に怯える意気地なしばかりで、学校で人をいじめ殺したり、その様子を傍観したりして生き残った同年代はその後令和になり社会で活躍しだし、善人面をしてSDGs、脱成長、ウェルビーイングなんて甘ったるいおためごかしの言葉を世間に垂れ流している。――基本的に同い年の人間が大嫌いだ。殺人鬼か詐欺師の類としか思ってない。

歩道橋を渡りきるまでヤンキーに五回頭を叩かれた。歩道橋を下りた先のラーメン屋は、親父に連れられよく食べに行っていたが十二年後、令和になってバイトテロで炎上して潰れた。被害者である店長のほうが運営会社から損害賠償を請求され、民事訴訟の末、五千万円の賠償命令が下った。この街で物事の道理は通らない。田舎を支配するのは金と暴力とヤンキーのノリ。知性はケツを拭く紙以下の価値しかなく、メガネをする奴はキモオタかガリ勉だから暴力をふるっていい相手とみなされ、読書すら悪口をたたかれる(『八本脚の蝶』を執筆した二階堂奥歯は仙台の出身だったが親戚の集まりで「本ばっかり読んだから頭がおかしくなったんだ」と言われたとはっきり書いている)。ここは日本じゃないと思っていた。ポル・ポト政権のカンボジアだ。どうせ十八歳までこのジャパニーズ・カンボジアにいさせられるなら少しでもいい環境の高校へ行きたかったが塾から返された模試の判定表にはCの字ばかり並んでいた。

 

 

朝の集会。体育館では校長がノーベル平和賞の授賞式について熱弁をふるっていた。平和賞をとったのはオバマだった。アフガニスタン侵攻、イラク戦争、世界金融危機。世界中に戦争と搾取構造をばら撒くあの国。一人を殺せば殺人鬼で百万人を殺せば英雄になるあの国。被害者面をすることが一等うまいあの国はあのころはなんだかんだいってまだ憧れの的だった。校長の話題がいつのまにかスティーブ・ジョブズにとぶ。ふとiPhoneを買いたいなと思ったがiPhoneをヤンキーどもに見つかったら最後、三階の教室から投げ捨てられるだろう。すでにiPodは捨てられた。東方Projectの同人サークル(たしかIOSYSや石鹸屋あたりだ)の曲を数曲入れたiPodは学校の中庭のコンクリートへ無残にたたきつけられた。俺のほうが教師に怒られた。英語のリスニングの勉強用に学校へ許可を取って持ちこんでいたがプレイリストの下に置いていた曲をヤンキーどもが見つけてチクったのだ。

iPodの件をチクったのはムエロンだった。

ムエロン——あいつを思い出すと中学を卒業して十五年経つがいまだに気持ち悪くなる。夏休み前、開校記念日に出された給食のメロンをほかのクラスメイトから強奪してまでたくさん食べたあいつは即座にメロンとあだ名をつけられ、昼休み明け、英語の授業で教師が発音した「watermelonワラ・ムエロン」がヤンキーたちのツボにはいりムエロンと改名された(本名は覚えていない。在学中に何度も苗字が変わってるから本名なんてあってないようなものだ)。

ムエロンはサッカー部にいたころから喧嘩とタバコと酒にハマり、髪を金に染め、どこかでナンパしてきた女と子どもをつくりかけ、制服の袖をまくり、冬でもミサンガをつけた素足でローファーを履く。何かにつけて殴り、笑い、踏みつける。机に彫刻刀でペニスやヴァギナを彫り、気に入らないクラスメイトの下駄箱に「死ね」とか「殺す」なんて暴言も彫る。女子と自分より弱そうと判断した男子は名前でなく等しくザコと呼び、そのザコをひっぱたき笑うムエロンの声は豚の鳴き声と区別がつかないほど醜い。

学校の裏サイトでムエロンどもに殺害予告を書かれたのを担任に相談したときは「あの子たちは家庭環境が悪いから配慮してほしい」なんて大人の対応を求められて泣き寝入りさせられた。

改善を誰もが諦めた。気の強く学習能力に欠ける一部の教師はムエロンを殴るが、それも焼け石に水で、一時間もすればまたムエロンは騒ぎだす。

朝礼が終わって教室へ戻る。ムエロンは机に足を引っ掛けて種違いの兄から借りたとやたらアピールする男塾を読みはじめた。朝の日課だった。ムエロンは少しケラケラ笑うと急に隣のヤンキーに声をかける。

「おい、万人橋ばんじんきょうやってみようぜ」

男塾名物・万人橋――人が肩車で連なって作る橋だ。ムエロンはヤンキーを集めると教室の机を持ちあげだした。もちろん自分がザコと呼んでいる生徒の机で、俺は無視して席に座り、問題集を解きはじめる。このまま成績が落ち続ければムエロンと同じ高校に行くかもしれない。そんな強迫観念じみた恐怖に突き動かされていた。ムエロンは悪知恵が働き地頭がよく、勉強しなくてもそこそこテストの点数が取れていた。

迷惑がるクラスメイトを足で蹴って追い払いムエロンは机の上に乗ると隣のヤンキーを肩車した。ムエロンは「なんかこの机、ちげえな」と呟くと首を傾け、獣のように狡猾で憎たらしい目をギョロつかせて俺を見てきた。この日から十六年経つがあの目つきを思い出すたび、いまだに背筋が凍ってしまう。

ムエロンは肩車していたヤンキーを一旦おろすと俺の席にやってきた。いきなり俺の勉強道具をすべて机から手で払って落とした。

「どうせこの机、誰も使ってねえし持っていこ」と俺の目をわざわざ見ながらムエロンは吐き捨てた。我慢の限界だった。ムエロンを殺さなければ、俺が殺される。

 

 

昼休みになると雪がちらついてきた。三階の教室は中庭に面して自分たちのクラスはその角にある。一階に降りて中庭の底に行く。使われていない、大きな長机が殺風景なコンクリートの庭にひっくり返っていた。その横には太い鉄パイプの杭が転がっている。中庭の真ん中に小さな菜園があり、教師たちが最近までパイプの杭を菜園の土に刺し、カボチャを育てるための支柱にしていた。

俺は長机の脚にパイプの杭をはめた。目論見どおり鉄パイプは脚に固定されて直立し、杭の尖った先端が天にむかって屹立する。その長机ごと引きずって角まで移動させ、その場から見上げると真上に自分たちのクラスがあり、ムエロンの汚い声が響く。

誰にも見つかってないことを確認し、中庭から出て階段を上る。

三階のクラスに戻るとまだムエロンが万人橋をやっていた。周りのクラスメイトは迷惑そうな顔をしたままムエロンを無視していた。

俺はムエロンをけしかけた。

「お前、俺の机でふざけるなよ」

「はあ? ザコの言うことなんて聞こえねーよ」とムエロンは馬鹿にするように返す。

カッときやすい馬鹿をたきつける方法を俺は、不登校の弟から借りたバック・トゥ・ザ・フューチャーから学んでいた。

「ベランダの手すり、中庭の角にあるからL字になってあるだろ。手足を引っかけてひとりで万人橋をしてみろよ。ああ、なんだ? 怖くてできねえのか、この臆病者チキン
ムエロンは目を見開くと俺をガン見して中指を立てた。

「ウゼェな、ザコの癖に生意気言うんじゃねえよ。やってやろうじゃねえか! けどな、俺がやったらお前もやれよ!」

ムエロンは腰につけたチェーンストラップをじゃらじゃら鳴らしながら、ベランダの扉を開けた。冷たい空気が教室に流れこんだ。

手すりは教室の後ろ側で右へ直角に曲がる。ムエロンは手すりの壁を登った。手すりの手前側に足をかけ、Lの折れ曲がった先に手をかけた。

「やってやろうじゃねえか!」

ムエロンは器用に手足を動かした。――胴体は宙にぶら下がった。

ヤンキー仲間の叫ぶ声と拍手。「写メ撮ろうぜ!」と誰かが叫ぶとヤンキーたちは学校に申請していないガラケーを取りだして、ストラップをじゃらじゃら揺らしながらシャッター音を響かせた。

風が吹いた。こいつら単純に死んでほしいなと思った。

ムエロンは宙にぶらさがったまま俺を振り返った。

「ザコもやれよ! 上から机と椅子を乗っけて落としてやるからな!」

ヤンキー仲間がわらわら俺に集まり羽交い絞めにする。そのままベランダの扉の外に突き出されると、背中を思い切り蹴り飛ばされた。

俺はその蹴り飛ばされた勢いでムエロンに近づいた。

ムエロンの体を押そうと手を伸ばす。

ムエロンのふざけきった表情は、過冷却の水が衝撃を加えられて瞬時に氷になるように、たちまち硬くなった。

豚のように腐った目は意外にもあっけなく怯えに満ちた。

急に醒めた。こんなヤツにいままでびびっていたのが馬鹿らしくなった。

その瞬間、背後から教室の引き戸が開く音がした。

「てめえら何やってるんだ!」

ドスのきいた怒鳴り声の主は、それまで怒ったところを見たことのない担任だった

うわ、担任って怒鳴ると意外と怖いんだなと他人事のように思った刹那、ムエロンは慌てふためき手をバタバタさせた。ムエロンの手は手すりから滑った。すぐ手すりの根元の壁へ手をひっかけようと伸ばしたが無駄だった。足も手すりから外れた。

ムエロンは絶叫した。汚ねえ豚のような声をしていた。屠殺場に連れていかれる豚ですら、もう少し矜恃を持った鳴き声をしている。

ムエロンのでかい図体は中庭へ吸いこまれるように自由落下し、中庭の奥底から重いもの落ちた鈍い音が鳴り響くと、絶叫がぴたりと止んだ。

不気味な二拍程度の静けさののち、ベランダにおそるおそるヤンキーたちが出てくる。真っ先に中庭を覗きこんだのはたしかムエロンの三番目の女だかなんだかだった。女は長いネイルだらけの手で顔をおさえ泣きだした。

俺も女の隣から中庭を見下ろした。計算通り長机に落ちたムエロンは仰向けになっていて、鉄パイプの杭は胸の中央、まさに心臓の位置を貫いていた。ムエロンは、モズが有刺鉄線に刺した早贄の虫のように手足を無様にジタバタさせ、すこし口から泡を吹きだすと、やがてぴくりとも動かなくなった。

恐怖心や罪悪感なんて微塵もわかなかった。自分から死んでくれたから好都合だなとしか思えなかった。

ベランダに集まるクラスメイトは顔面を青白くさせて震えていたが、ムエロンに下駄箱を落書きされた学級委員長は、冷たい視線を投げかけるとすぐに机に戻って参考書へ蛍光ペンを走らせていた(学級委員長は県立病院の医者の子どもだった。「テストの点数が低ければ親に死ねとか殺すと脅される。勉強の邪魔をするムエロンが死んでホントは嬉しかった」――この事件から三年後、医学部受験直前の学級委員長は四号線沿いのサイゼリヤで俺にそう語りながら予備校の模試の判定表を見せてきた。E判定ばかりだった。俺と別れたあと失踪した委員長は、数日後の雪の朝、河川敷の太い木で首を吊った状態で発見された)。

 

 

ムエロンは俺が殺したと思っている。しかしほかのクラスメイトは担任が殺したとみなした。ムエロンの死は事故として処理された。担任はこの事件についてほとんど言わなかったが、ただ一度、葬儀の翌日のホームルームで教卓に両手をつくと低くつぶやいた。

「これでうるさいのがいなくなったな」

誰も笑わなかった。だけどクラスの空気がわずかに緩んだような気がした。

ホームルームでの発言をクラスメイトの誰かに密告された担任は冬休みが終わったあと、停職六ヶ月の懲戒処分がくだり、すぐに依願退職した。

世界は完璧に狂っていると思ったのはそのときからだった。あのオバマの言う綺麗事など信じられない。命は地球よりも重いなんて嘘だ。鳥の羽のように軽い。目の前に荒涼とひろがる、るかられるかの狂った世界をなにがなんでもサバイブしなければと決意した。他人に弱みを見せたらつけこまれて殺される。殺されたくなければ暴力を振るう側、しかもヤンキーの拳のようなちゃちな暴力でなく、何十万、何百万人の人間を殺戮できるような、それこそ国家レベルの権力を振るう側になるしかなかった。

力だけが絶対に自分を守ってくれる。

 

 

*     *     *

 

 

それから勉強に集中できるようになり成績が急上昇。高校は進学校へ入れ、大学進学で上京も叶えた。だいそれた権力者にはなれなかったがJTCの社畜となり、いつのまにか三十歳を越した。あの頃の担任と同い年になっていた。

有楽町線を降りて豊洲駅の階段を上って出る。広がる空は地元のドブのような空とちがい透き通った青をしていた。必死に努力してタワマンを買った。結婚もした。もうすぐ子どもが生まれる。けどこれが田舎者の限界だともすでに悟っていた。このタワマン街の住人になるのは所詮はサラリーマンで、経営者や先祖代々東京に住む貴族様ではない。

命懸けで東京へ這い出てきた田舎者がこのタワマン街で必死に生きる。そのなかには誰かを見殺しにしたり、本当に殺したりした田舎者もいるのだろう。俺のように。

© 2025 眞山大知 ( 2025年10月23日公開

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"ムエロン"へのコメント 10

  • 投稿者 | 2025-10-25 12:31

    眞山さんと同じ1992年生まれなので、出てくる名前がどれも懐かしいです。「シーブリーズ」とか「リプトンの紙パック」とか。平成の雰囲気が良かったです。また、僕も市内で一、二のヤンキー中学出身なので、毎日がサバイバルな学校生活に共感できます。「基本的に同い年の人間が大嫌いだ」と書いてありますが、仲良くしてほしいです。ただ、オバマのノーベル平和賞受賞は2009年で、1992年生まれなら中学は2005年4月入学2008年3月卒業のはずなので、ちょっと年齢をずらした?のかなと思いました。「いつもと違いユーモアを一切排除した」と眞山さんは書いていますが、「ムエロン」というタイトルをはじめ、細かいユーモアがちりばめられていたので、暗い話ですが最後までおもしろく読むことができました。「女は長いネイルだらけの手で顔をおさえ泣きだした」や「モズが有刺鉄線に刺した早贄の虫のように」などムエロンのムエロンが死ぬシーンにもユーモアがあり、それが「世界は完璧に狂っている」という認識にうまくつながっている気がしました。

    • 投稿者 | 2025-10-25 13:32

      ありがとうございます!
      作中の主人公の年齢はあえてずらしています。(自分が本当に地元で見てきたことを書くと家族や友人に迷惑がかかってしまいますので💦)
      ユーモアさを排除しようとしたのにどこか滑稽になってしまったのは自分でも感じています。読み返したらどこか平山夢明の作品みたいだなと思いました

      著者
  • 投稿者 | 2025-11-16 08:50

    眞山さん似た世代なので、平成ヤンキーのノリがひしひしと伝わってきて懐かしくなりました。あーあーそんなんだった!ってなりました。あるあるネタが細かい。暗いけどユーモアはあります。1人殺せば殺人鬼、100万人殺せば英雄ですが、主人公はある意味1人殺して英雄だったのかなと。ヤンキー界隈を起点にムエロンのディティールが凝っているからこそ、死ぬシーンも鮮やかに目に浮かびました。映像化されました。色の対比とか。
    関係ないですけど佐藤相平さんが年下で私は卒倒しました。似た世代なんですけど。私は1989年生まれです。

    • 投稿者 | 2025-11-19 18:05

       この前ORANGERANGEの公式YouTubeでイケナイ太陽の新しいMVが出たのですが平成のヤンキーが溢れんばかりに出てくる映像で、何度も何度も見返して今回の作品の参考にしました。
       色の対比はかなりこだわってます。雪の白と血の赤のコントラストはかなり狙って描きました。
       自分も佐藤さんと同い年だと知った時はビックリしました。文学界隈は年上ばっかりなので_(:3」∠)_

      著者
  • 投稿者 | 2025-11-20 17:48

    昭和世代の私でもなんとなく既視感を覚えるのは私が田舎者だからでしょうか。
    予期していたほど胸糞さを感じなかったのは自分がその暴力の中で生きていたからなのかな、と思います。眞山さんの「ちょいレトロ」な感じ、ハマりますね。

    • 投稿者 | 2025-11-20 18:26

      太宰治も言ったとおり、三代まえに鶏を盗まれたことをちゃんと忘れず覚えていて憎しみ合うのが田舎ですし、昭和も平成も令和も暴力にまみれた田舎の光景はたいして変わらないのかなと思います。
      最近昔の話を書くのにハマっていまして……。現代を舞台にした作品は最近の流行についていけなくてだんだん書けなくなってきてます😢

      著者
  • 投稿者 | 2025-11-20 18:33

    面白く読みました。
    途中で結末が分かってしまうのですが、文体のダレない緊迫感が最後まで引っ張って行ってくれます。胸糞悪くなることもなく、ムエロンについては「ざまあ」としか思えないのも描写力のたまものですね。本当は主人公が仕掛けたことが分かっていても、誰も言わなかったのじゃないかとも思えました。

    昭和の不良を知っている世代ですが、クズっぷり卑怯っぷりはそれほど変わりませんね。安保闘争や学園紛争が終わってしばらく経った頃は、なんとなく「反権力」がカッコいいと思われていただけです。ネットもSNSもない時代で情報取得源が限定されていて、視野の狭さはびっくりするほどですが、平成のヤンキーも大して変わらないのだなと妙に安心というか納得しました。

    子供の頃はイキっていたくせに別人みたいになってる同級生もいますね。自分も含めた俗悪さ醜悪さ、田舎出身の劣等感がよく描かれていて長渕剛に歌にしてもらいたい作品でした。

    • 投稿者 | 2025-11-20 18:41

      もうすこし捻ったストーリーにしてもよかったのですがやりすぎるとテーマが散逸するのであえて分かりやすいストーリーにしました。
      田舎者の劣等感はなかなか拭えません。小説を書き出して五年間、ずっと田舎者の劣等感をテーマに書いてきましたし、たぶん文字どおり死ぬまで書き続けるんだろうなと思っています。

      著者
  • 投稿者 | 2025-11-22 15:46

    自分も田舎出身で、通ってた中学は確か市内有数のヤンキー校だったらしいです。
    ところがそんなヤンキー校ですら、殴り合いの喧嘩を見たことは、少なくとも在学中は一度もないので、割と平和な方なのかもしれません。

    「在学中に何度も苗字が変わってる」で、色々と家庭環境を察せます。

    • 投稿者 | 2025-11-22 18:09

      わたしの母校は3月の合評会に出した作品でも触れたとおり仙台の私立の中高一貫校でしたがかなり治安が悪く、殴り合いのけんかも平気でありましたし百万円単位のカツアゲも見ましたし、生徒会長はヤクザになるわ教師が生徒を死なせるわまあひどい学校でした。学校に通うだけで命を落としかねないところでしたが、あまり家庭環境が複雑な人間はなく、ムエロンのキャラは完全に想像だけでつくりました。

      著者
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