はじめてあなたが私に話しかけてくれた日は祝日。しかしそれは、私があなたと同じ夢を追う旅人だから、宿の案内を私に頼みにきただけだったのです。私は便利な情報屋です。
あなたはなんて良い人なんでしょう。偶然同じ道で出会っただけのつまらない案内女にさえ、情をかけ、無限の愛と微笑みを振りまく。
私は知っています。あなたのそれは私が欲しいからではないのです。失うことを恐れているからなのです。あなたは言いました。すれちがう人びとと二度と会えなくなるのがかなしい。あなたは失うまいと抗う。あなたが様々の人に同じように話しかけるのは、誰のことも失いたくないと思っているからなのです。だから、あなたが私に親切にするのは特別関心を抱いているからではない。分かっています。分かっているのに。
誰にでもする親切を過剰に受け取る勘違い女は面倒がられるのでしょうね。そんなつもりじゃないのに距離詰めてきて気持ち悪いでしょうね。
ごめんなさい。この想いは伝えませんから、どうか大切に持っていることだけはお許しください。
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