「落□とは、消えるこ□では――」短篇集『落丁』カットアップ・リミックス
もしもし――その一言だけが、機の合間に、こぼれ落ちる。
委、応、帳、録、目――これらの字だけが、消えていく。
何十年勤めて、一枚。誰もが、自分の書いたものを、自分の手で切り落としていた。
今、その影は、誰に一番近づいているのだろう。
満ちては引き、引いては満ちる。その中に、いずれ等しく紛れ込んでいく。
代々の記帳者は、誰に言われるでもなく、同じ場所を、空けてきた。
もしもし、こちら交換。――あなたは、まだそこにいますか。
日誌は、正しい。ただ、数えるたびに、誰かが足りない。
始祖の顔は、誰の顔でもない。欠けた頁は、消えたのではない。
翅に刻まれた符号は、百年前から、あなたを待っていた。
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