50年後の世の中 加羅戸麻矢
50年後の世の中を知っていますか
ひょっとすると宇宙葬がデファクトスタンダードになって
人間を卒業したら夜空の星に散っていったり
白寿を疾(と)うの昔に迎えた人たちが、
有機体の臓器と金属や樹脂でできたデバイスで
ハイブリットアクチュエータとなり、
街を一日中元気に闊歩しているかも
科学瓶に漬けられた大脳と、
電気的な会話を楽しむ人がいる一方
古びて朽ち果て腐りきったシャッター通りの奥で
「あなたの魂も質入れできます」という張り紙付きの、
ひっそり営業している質屋から、
魂を質入れした人が出てくるかもしれません
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だけど春になると今と変わることなく沈丁花の香りが漂い
梅雨にはカタツムリが紫陽花の中でかくれんぼし
夏の夕暮れの神社では蜩のカナカナ声の挽歌が響き
秋の夕焼けは釣瓶と一緒に田舎の井戸に落ちていき
冬には粉雪が舞い降りて
お寺の墓縊死が純白の経帷子を身に纏うでしょう
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(地球温暖化阻止の歌)
協賛:新××主義の輩から田舎の自然を守る会
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