埋み火

arai

1,040文字

冷たい雨を 紡ぎ まるめた綿を詰めた 唯の身包みでしかない、「 」に祷る。

不意にどこそこに現れる本音の明日、大地の子。純真で血の気のない黒い眼で抉るように仕向けられる。

あかい あかは、こびりついて あらってもあらってとれやしない。
外すことのない よろいどを覆った 終の棲家に。idに腰を堕とした。
わたしたちは しあわせと寝転びました。

まずはわたしから。
画情へとすり抜けていくノイズを与えただけの竜巻。歩兵の叫び声、無防備な起点と争点が合わさるときにアバタエクボのような片割れでは悲恋、広角を潜ませる余所者の成れの果ては紫に滲む。

挙手「弾ける素肌を滑らかに降りていくのを、僕はこぞって、その強かな羽化をたのしみました。」

得体の知れない宴席であれ裝束、水場であれ泥濘に在るは硝子の君は俯き、お気の毒にも岩庭氷の華とふわり。扉を開け広げられたときには筋ばる思いは、羅針盤に炙り出されただけで、縮こまるだけの尊厳死として。

――吾が手でつかいとれるこの身体もまた何事も不自由をつつみだしてみせる歩調は弛まぬ『モノ』 ゆるやかにしめらして 逝く者 なじれた つちばみの ジャを おくばで さんだん のじっていくは やはり ソコ

(問い)
所詮、呪いのランプみたいに 近々 チカチカ、
折り目正しい格式に乗っ取られた今は息を殺して、
白々しい二枚舌の白蛇に巻かれ
(史記)
不始末に集って 綻びが出始める
宴会場はもうすぐに砂浜に充ちていくから
香ばしい焚き火が 枯れ草を焼き 春もすぐにすぎ
枯れ草が吐いた約束に見合うように、銃殺を繰り返す
まぼろしを芽吹いてみせた。

聴衆「それでいても、構わないで!」

やせ細る日常にオマージュされたはずっと白い羽音を、境界と水切り、ひとつの円として沈黙を破る。瞬く間に 閃く鱗の 放射が、段と辺りに散らばって死んだ。
〈螺旋に甘れる ツツ 天も底も抜けるよう、あまつゆで 囲うよに 祈りを湿す〉
難解に嚥下していかれる、水は、光沢を匂わせ艶めくのだという、今はもう汽船へのマスターベーション。みんなみんな嗄れてしまった モノクロームの旋律と和解する。

塞がれたのは己が試ココロぞ
ナニを狼狽えるか あつき血潮よ、
手をこまねく数多箒星より、輝きを射止めたまへ

そのうちがわをすこし膨らませる帽子屋の怪文書に。
瞑目と置いた待針は、ぷくりとした肌のなめらかな絹の、雨ざらしな迷いを縫い止め、照り返しの笑みはこの上なく、砂嵐のAliceそのもの。

その透かし見る黄色の朧月の煙霞
火傷の痕は引き攣り、蝶番は今でも膿んだような炎華
私たちは繋がれてはいなかったのですが

冷たい雨を 紡ぎ まるめた綿を詰めた 唯の身包みでしかない、「 」に祷る。

2022年5月10日公開

© 2022 arai

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