独り言

yohei

戯曲

14,530文字

小説がだめなら、と思って書いた。読む気がしない、と言われた。卑怯ものめ。やっぱりネタの使い回し。また落ちたら投稿しようと思います。

登場人物 宮後拓明(14)学生
音羽誠(14)学生
照谷雄史(16)学生
その他

○中学・教室
宮後拓明(14)、うつぶせになり、本を読んでいる。ページを開く。

○タイトル「独り言」

○同
チャイムの音、体育着替え、宮後の靴を音羽誠(14)持って、逃げる。宮後、教室を探す。
生徒「それじゃ」
宮後、探すのをやめる。先生が鍵を閉めにくる。宮後、後ろのドアの鍵を閉め、電気を消す
先生「ありがとう」
宮後「いえ」
宮後、走る。

○体育館
走る生徒たち。宮後は靴を探す。隅を確認し見つける。靴を履く。チャイムの音。
音羽「お前、英語の点数何点だった?」
宮後「五十点」
音羽黙る

○教室
宮後教科書をとりにロッカーへ。音羽、立ちはだかる。宮後、席に戻る。
音羽「やっぱり黙っているヤツはおもしろい」
宮後「別に僕は冗談で生きているわけではないの だけれど」
音羽「調子にのるな」
チャイムの音。教師が入ってくる。音羽、宮後の教科書を奪う。
生徒「ちょっと、弱いものいじめはやめなさい」
そう言い、音羽から教科書をとる。
音羽「ふん」
宮後のN「あいつのどこが誠なんだ」
生徒、宮後に教科書を渡す。
宮後のN「彼女は幼稚園が一緒だった」
授業終わり。
生徒「私はね、宮後くんがとっても優しい子だっ たってことを幼稚園で見てきたの。」
続けて
生徒「あのねぇ、スコップを使って土を掘るとき にね、人気のスコップと人気のないスコップが あって、宮後くんは人気のあるほうのスコップ を、たまたまとったの。でもね、人気のないス コップしかとれなくて泣いていた子と、交換し てあげたのよ。だからあんたは優しい子なの」
宮後のN「スコップで泣く……」
宮後「優しいというかねえ、愚鈍というのか」

○道場(夕)
宮後、剣道着に着替える。ぞうきんがけ。窓を開ける。部長の練習のかけ声。練習中、カナブンが近づく。宮後追い払おうと道着を触る。カナブン、防具の中に入っていく。
後輩「ふはは」
宮後、黙る。集合のかけ声。瞑想。面を着ける。稽古が始まる。
宮後のN「腹痛。まだ耐えられる」
宮後「甘かった」
宮後、顧問に面がとれた、と報告。トイレで残便を出し切る。袴を確認。ついていない。パンツ洗わずそのまま。面をつけて戻る。稽古終了。
同級生「今日、めっちゃうんこくさくなかった」
宮後「うん、したした」
同級生「今もまだ臭いし、ねえどーお?」
同級生「ええ、何も感じなかったけれど」
宮後「鈍感、女たらしのくせに。」
後輩「俺も感じましたけどぉ、においがした後に A先輩が通ったのでぇ、そいつの仕業かと」
宮後「うんこって生ぬるいんだよねぇ」
着替え終わり、部屋から出る。中から笑い声。同級生、近づいてくる。
同級生「いやねえ、さっきA先輩って××ですよ ねって後輩がしゃべったら、いやー、俺は宮後 先輩のほうが××だっていってね」
宮後「聞キチガイじゃないの?」
同級生「いやはっきりと言ってた」
宮後「それであの学級委員面のやつは?」
同級生「いくらなんでもやめなよ、って」
宮後「いくら本当のことでも失礼だよっ、てね」
同級生「そうそう、ははは」
宮後「まあ猫背でずうっと下向いているからね。声も小さいし」
同級生、耳を近づけてくる。

○同
体育、柔道、着替えて畳を並べる。準備運動。受け身の練習。二人組を作れ、との指示。音羽、宮後に近づく。
音羽「一緒にやろう」
宮後「別にいいけど」
音羽、宮後に技をかける。その後寝技。
音羽「もう起きあがっていいよ」
しかし音羽、宮後が起きあがらないように強く押さえつける。宮後、押しのける。

○教室
宮後と音羽、水着に着替えようとする。宮後はプールタオルで全身を覆う。音羽、宮後に近づく。宮後の水着をはかせないように下に力を加える。宮後、はこうと力を入れる。ふぐぅー。
宮後のN「粗ちんだし、恥ずかしいのだけれど。 音羽のヤツ、この前はベルトを外そうとしてき て、ほかの人から、そういう関係? って聞か れていたし、次には抱きついてきたりもして、 女子からもそういう関係なんだ、と言われて、 はっきり言って迷惑」
音羽、力を抜き、プールへ向かう。宮後もプールへ。

○プール
準備体操。生徒、宮後のおなかを見て笑う。宮後、引っ込める。また笑う。他の生徒、横腹をつついてくる。宮後、だまっている。生徒、列に戻る。
音羽「なんだ、そのおなか」
宮後「あんたに笑われるためにこうなったわけで はないのは確か」
音羽「きもいんだよ」
宮後のN「ふん、お前の低い鼻と、一重で、切り 傷みたいな小ささの目のほうがきもいわ」
宮後、音羽から離れる。
宮後のN「ほんっとプールって嫌い」
教師「じゃあ残りの十分は自由時間です」
宮後、プールで泳ぐ。周りは遊ぶ。途中、おぼれかける。後ろを向くと音羽がいる。音羽、黙って離れる。

○教室
音羽、宮後の教科書を奪う。友達と投げ合う。宮後、それをとろうとする。
生徒「ほんと宮後と音羽ってなかいいよね」
宮後のN「あの子の悪い所は顔だけじゃなかっ  た」
音羽からとる。
音羽「調子にのるんじゃねえぞ」
宮後にヘッドロックをかける。宮後、黙る。音羽、そのまま持ち上げる。
宮後のN「それは首吊りといいます」
見ていた生徒、すごい顔、と笑う。宮後、咳をする。
音羽「ちょっとしか力をいれてないのに、こいつ すげえ暴れ出した」
宮後のN「もしまた、こういうことがあったら、 ちゃんと好きだ、という告白を受け入れよう」

○同
生徒、音羽を囲んでいる。音羽、小学校の卒業アルバムを開く。宮後、離れたところから見ている。
生徒「やだ、音羽、かわいい」
宮後のN「確かに、私が、小学校二年生のとき、 たぶんあれはのりだったと思うのだけれど、音 羽の席のゆかにこぼれていて、それを私は拭い てやったら、ありがとうっていって、そういう ところもないわけではないのだけれど、給食の 時間、班で席をくっつけるときに、この私が給 食当番の子の席を並べてやった。その子がき  て、あっ、誰がやってくれたの、といったと  き、なんとなく図々しく思えて、手を挙げなか ったら、音羽が手をあげて、俺がやったと、ぬ けぬけと」
生徒「何しているの」
宮後「何もしていないよ」
宮後、席につく。音羽、卒業アルバムを閉じる。

○同
卒業アルバム配られる。周り、寄せ書きを書いてもらっている。
生徒「宮後にも書いてやろうか」
宮後「結構です。私はフリーページまっさらをめ ざしているので」
音羽、宮後をみている。
音羽「おとなしいくせに、頭悪いヤツって、生き ている価値あるの?」
宮後「おかげさまで。授業妨害はしていないので いいのです」
宮後、アルバムを閉じる。

○宮後の家
宮後、ネクタイの練習、ローファーをはく。制服を着てみる。母、カメラを向ける。

○電車
電車、トンネルに入る。制服、ネクタイ、ローファー姿の宮後が窓に移っている。
アナウンス「次は横浜」
電車、止まる。
宮後「降ります」
周り、降りていく。宮後も続く。
乗り換え。階段を上がる。

○高校
途中、坂道をあがる。校門につく。宮後あたりを見回す。
先生「どうしたの」
宮後「いえ、あの、どこから入ればいいのかと」
先生「ああ、君は何組?」
宮後「四組です」
先生「(指をさして)なら左側から」
宮後お礼を言う。
宮後のN「ありがとう。小太りの先生」
階段で一階へあがる。

○教室
生徒、グループをつくってはなしている。宮後一人で座っている。チャイムがなる。
担任「今日は避難訓練があります」
生徒「めんどくさ」
昼休みも終わる。教師、教室へ入ってくる。避難訓練のアナウンス。
先生「じゃあ並んで」
生徒、騒ぎながら並び、校庭へ歩く。途中三人の教師がこちらに近づく。
担任「(裏ががえった声で)こらー」
生徒、笑い出す。
学年主任「静かにしなさい」
校庭に並び座る。校長、短く話す。
宮後のN「まあ本当に災害がおきたとして、危な いのはあのじじいばばあどもなのだし」
教室へ戻る。学年主任も入ってきた。
学年主任「今日のみなさんの態度はなんですか」
宮後のN「さあ」
宮後、うつむく。学年主任、出て行く。
先生「みんなちゃんとしなきゃだめだよ。学年主 任がいったことも、もっともでしょ。えーと、 ほら。」
生徒「先生も聞いてないじゃん」
先生笑いながら注意。みんなも笑う。
先生「ほら、授業はじめますよ」
チャイムの音。みんなで笑う。あいさつ。

○生物室
宮後と部員は生物に餌をやっている。例の先生が入ってくる。こんにちは。
宮後「あら、どうしたんですか」
先生「ウーパールーパーはかわいい」
宮後「あのあと、学年主任には怒られていません か?」
先生「うん、ばれてないのだから」
宮後「えー、大丈夫だったんですか」
先生「ばばあをだまくらかすくらいの才覚はある わよ」
先生、宮後を見る。
先生「わたしにもやらせて」
宮後「意外と難しいんですよ」
宮後、先生にスポイトとえさを渡す。
宮後「スポイトに餌をつけて、口元にやるんです」
先生、失敗。
宮後「ペットは飼い主に似る、っていいますから ね」
先生「じゃああんたに似たんだね」
二人で笑う。先生は帰った。次は別の先生がきた。
先生「この子たちが生物部を見学したいっていっ ているんだけど」
宮後「いやです」
先生「じゃあうちの部につれていっちゃおうか  な」
宮後「そうしてください」
先生「冗談だよ」
先生帰る。
宮後「すぐ帰りたかったのに」

○同(夕)
顧問、来る。しばらくして見学生帰る。顧問、部員を集める。
先生「最近のあなたたちはなんなんですか」
部員「どういう意味ですか」
先生「どうして活動日にこないの」
部員のN「それはあんたのせいだろ」
先生「私はね、あなたたちのために、いろいろ考 えて来ているの。それなのに、何? その不満 そうな顔」
宮後、机に手をつく。先生、話し続ける。宮後「すみません、少し気持ちが悪いので」
宮後、座る。そのあと、水を飲もうと歩き出す。宮後倒れる。先生と部員、あわて出す。先生、救急車を呼ぶ。
先生「生徒がけいれんをおこしているんです」
宮後目をさます。宮後の前には大量の先生。
先生「大丈夫?」
宮後「はい大丈夫です」
先生「朝ご飯は食べた?」
宮後「はい、あなたの見た目からしたら、朝ご飯 を食べたとは言えないかも知れませんが」
他の先生「(片足に体重をかけ)けいれんしてい ないじゃないですか」
顧問「うーん、とうなりだしたのでつい」
先生のN「面倒かけんなよ」
先生「救急車が到着しました」
宮後のN「あーあ放っておいてくれればなおったのに」
先生「ところで誰がついていきます?」
みんな目をそらした。
部員「じゃあ僕が?」
先生たち、笑う。結局顧問がついていくことに。
宮後のN「顔を隠してほしい。それにもし、文部 省とかが、部活動の自己記録とか出していて、 柔道部四十人、野球部二十二人、バスケ部十八 人、生物部一人、などとかかれていたら、どう しよう。笑われ者だ」
救急隊員「今日の日付はわかりますか」
宮後「知りたくもありません」
救急車の中、揺れる。病院に到着。

○病院
担架で運ばれていく宮後。
宮後のN「恥さらし」
病室に入り、診察を受ける。いろいろな機械に通される。注射、点滴。親が来る。
先生「点滴が終わったら、かえって大丈夫です  よ。きっとこの年齢ですから、疲れていたので しょう。それとあと脱水気味でしたよ」
宮後の親、かねを払う。先生とタクシーに乗る。

○駅
親、先生に金を渡そうとする。
親「これ、先ほどのタクシー代」
先生「いえ、補助がでるので大丈夫ですよ」
宮後の親「ならこちらと一緒に補助も受け取れ  ば」
先生、笑う。それでは、と別れる。先生は学校。親と宮後は家へ。

○学校・教室
担任「昨日は大変だったな。大丈夫か」
宮後「はい」
照谷雄史(16)とその友達が見ている。

○宮後の家
朝起きて、携帯を確認。照谷からのメール。

○電車
携帯を見る宮後
宮後のN「なんで私のメールアドレスをしってい るのだろう」
宮後、メールを読む。まず一つ目。
宮後のN「件名 忘れてるならそれでもいいです 本文 俺も正直言うと記憶があいまいですから(汗)これを言ったら正体がばれちゃうかもしれ ないけど一年前のライブのリハーサルで頭打っ て実はその時にここ数年の記憶がちょっと無く なってるんです(笑)一部のテレビのニュース でも報道されてたけど本人です。どうです?  思い出してくれましたか?」
次に二つ目。
照谷のN「どーもー。照谷雄史でーす。急にごめ んなさーい。生物部の子からメールアドレスを 聞いちゃいましたー。ぜひ友達になってくださ ーい。よろしくお願いしまーす」
電源を切る。
宮後のN「この子は本当に私と友達になりたいの だろうか。無理をしているのなら辞めておきな さい、面倒くさいから、と教えてあげたいのだ けれど」

○学校
階段で三階、二年三組の教室へ。生物部の子に宮後が近づく。
宮後「どうして勝手にメールアドレスを教えたの だい?」
生物部「だって無理矢理聞いてきたんだもの」
女子生徒が入ってくる
女子「うわ、暑い」
冷房をつける。
宮後「今日の宿題やった?」
生物部「一応やってはみたけれど」
宮後「じゃあ見せて」
生物部「いやです、自信ないですから」
宮後「自信があろうとなかろうと、やった、とい う事実が重要なんだよ。わたしはドリルを開い て、問題を見た後、すぐに閉じてしまったん  だ。だから見せて?」
生物部「いやです、自信ないですから」
女子生徒の友達の子が入ってくる。
友達「うわ、寒い。誰だよ、この時期に冷房つけ た奴は」
女子生徒のグループにはいって、あいさつ。宮後は笑う。
宮後「いいものがみれたねー」
生物部「なにがですか?」
宮後「もういいです」

○学校・最寄り駅
宮後、改札をでる。ドラッグストアの前を通る。照谷、宮後に近づき、くすぐる。宮後、よける。一緒に登校する。スーパーの前を通る。 宮後「見てみて、早だしみかんだって」
照谷「ほんとうだ」
宮後「早だしがあるってことは、遅だしっていう のがあるっていうことでしょ。じゃあ中間は中 だし?」

○帰り道・スーパーマーケットの前
宮後、照谷、友達二人と下校している。照谷と友達二人の三人が前、宮後は後ろ。
友達「早・中・遅。うーん、ちゃんとしてはいる のだけれど」
後ろから同じクラスのカップルが歩いてくる。四人を抜かす。照谷は舌打ち。
宮後「高校生のカップルなんて、どうせごちゃご ちゃして、最終的には別れるのだから」
友達「そうそう」
ドラッグストアの前を通る。
友達「セックスってどんな感じなんだろうね」
友達「ふへっ、梅毒とか」
宮後「梅毒ってなに?」
みんな黙る。
宮後「セックスか。なんだか痔になりそうだよね」
宮後、笑う。三人、黙る。

○帰り道・坂
照谷と二人は前、宮後は後ろを歩いている。坂を下る途中。
照谷「あれいたんだ」
宮後、黙って早歩き。

○家
宮後、三年生になり、携帯を買い換えた。設定をする。そのあと携帯会社からSMSが届いたのを知り、開く。宮後、照谷のメッセージに気づく。
照谷のN「おーい? お? これ届いてる? メ ールアドレス変えてその連絡をメールで送った ら返って来ちゃったから一応こっちで連絡しま したー!
宮後、返信。
宮後のN「今気づいた。そういえばもうすぐ誕生 日なんだってね。何ほしい?」
メッセージが届く。
照谷のN「うううんなんかメールとかこっちとか 帰ってこないから嫌われたのかと思って話さな い方がいいのかなって思ってた」
宮後のN「大丈夫、嫌ってないよ。なんかごめん ね」
宮後、返信。
照谷のN「いやこっちこそごめん俺が友達と話し てるときこっち来なかったから嫌われたのか  な? って思っちゃっただけだから」
宮後のN「最近いじめてこないなー、って思って たらこっちが悪かったみたい。次から気を付け る」
照谷、返信。
照谷のN「ってかいじめって酷くない。愛のある 絡みと言って欲しい。てかメッセージの方で送 ったよーって会って言えばよかった……プレゼ ントかーブックカバーなら学校で使えて良いか も……でもいつも読んでるハヤカワ文庫のやつ はふつうの文庫より少し大きいから面倒くさい かな……そっちはいつ誕生日?」
宮後返信。照谷返信。
照谷のN「うむ! ハヤカワ文庫が入るサイズ。 そういえば、模試会場どこ? そっかーじゃあ 会えないね」

○教室
宮後、猫柄のブックカバーをもってくる。チャイム、照谷こない。
宮後のN「大丈夫?」
照谷、返信。
照谷のN「うんただの腹痛、たぶん夜更かしのせい」
宮後、返信。
宮後のN「ならいいけどさ。学校のストレスもある のでしょう。大変だよね。わたしもそうなんだ けど」
宮後のN「恥ずかしいからあんまりいいたくない のだけれど、尊敬しているよ」
照谷のN「おおっ。ありがとう。ところで、僕も なんか本貸してあげようか」
宮後、二冊かしてもらうことに。
宮後、照谷お互いに渡す。
宮後二日で読み、おもしろかったと感想を照谷に送る。
照谷のN「そうでしょう」
宮後のN「こんなもので」
宮後、返信。
宮後のN「今度本を返すときに、また新しい本を 貸してあげるよ」

○学校帰り・坂道
前二人、後ろ二人の四人。
宮後「私って常識がないでしょ。だからさ、治験 でもやろうかね」
照谷「いいんじゃない? 君にお似合いだよ」
スーパーの前「みかん」の三文字。
照谷、前を歩く女子を見て、足が太い、という
照谷「そういえばさ、今日人前でお尻を掻いてい る女子がいてさ、どう思う?」
宮後「そういえばもどう思うも何も、私はよく人 前で、パンツの中に手を入れて掻いているか  ら」
○駅・プラットフォーム
宮後は家に帰るため照谷は遊びに行く、と友達二人と反対の車線側へ。
宮後「やっぱりするの? 去勢」
照谷「うん、そのうち、ただお金がかかるから  ね、すぐにはできないのだけれど」
宮後「ああ、調べてみたんだ」
照谷うなづく。

○校庭
体育の授業。
照谷「それにしてもきれいな青空だね」
宮後うなづく。
照谷「このあとマクドナルドにでもいかない?」
宮後「もちろん」
二人のあいだをサッカーボールが通り過ぎる。
二人は目で追いかける。
照谷「おいっ」
照谷、ボールを追いかける。
宮後「元気だなぁ」
他の人、ぶつぶつ文句、先生は笑う。
宮後、職員室へ。照谷、それを待つ。終わり、教室へ戻ろうとすると、すでに女子がいた。
照谷「トイレに入こうか」
宮後、Tシャツを脱ぐ。照谷、少し遅れてTシャツを脱ぐ。
宮後、照谷の背中をみる。抱きしめて、乳首を触る。
照谷あわてる。宮後、驚いて触るのを辞める。 照谷笑う。
宮後、両手を彼に見せる。
宮後「汚ねぇ」
照谷、舌打ち。宮後にくすぐり。やめろ、とさけびながら宮後はもう一度乳首を触る。
照谷、また驚く。
宮後「きもちいいでしょ」
照谷否定せず。
宮後、着替え終わる。照谷、警戒して着替えようとしない。
宮後「もうあきらめた」
宮後、両手をあげる、照谷ハーフパンツ脱ぐ。
宮後「よっしゃ。チャンス」
宮後、照谷の股間をもむ。照谷よろけた。
宮後「手を洗わなきゃ」
照谷呆れ顔。その後宮後、照谷、笑いあう。
宮後「次の授業って修学旅行の最終確認でしょ」
照谷「そう」
宮後「わたしって飛行機が苦手なんだよね。閉所 恐怖症で」
照谷「俺も細いから、明日の、先に送る荷物を学 校までもってくるのが苦手」
宮後「平和学習ってねぇ」
照谷「ほんとうね」
宮後「イヤだねぇ」
宮後「だいたいさ、うちのクラスの担任がおいつ めたせいで学校をやめちゃった子がいるのに  さ、なにをおそわればいいのだろうね」
照谷「まああの子もメンタルが弱すぎたと思うけ ど」
宮後「同じ茶道部だったんだってね」
照谷「なんかいやな言い方だね」
宮後「お茶たてながらちんちんもたてて」
照谷「六組の担任の先生が夏休みあけにいなくな ったのもいじめらしいよ」
宮後「あとさ、夏休みの強制参加の自習で英語を教えていた先生いたでしょ。あのひともいじめで やめたらしいよ」
照谷「ああそれで本を表表紙から裏表紙まですべ てコピーしたのだろうね。最後だし、紙を無駄 遣いしてやろうと」
宮後「嫌がらせだね。学校にとってはなんてこと ないのだろうけど」
照谷「世界史の先生が残業のしすぎで倒れたこと もあったしね」
宮後「雑用係でしょ。出世は見込めないね」
わたしはそう断言した。

○宮後・家
宮後、荷物をおき寝転がる。本を読む。携帯を開く。照谷、宮後に映像を送る。照谷と友達の四人で体をくすぐっている。

○教室
宮後、照谷の席の近く。ある生徒を二人は見ている。
照谷「ああ見えて彼には頭も顔もいい彼女がいる んだよ」
宮後「うだつのあがらないヤツのようにみえるの にね」
照谷「今度ラブホテルにいくんだってさ」
宮後「吐き気がする」
宮後、照谷のほうをむく。
宮後「照も、あのこと同じ大学にいくのでしょ  う。彼女といつまでつづくのか、みとどけた  ら?」
照谷「大学受験までつづくといいけど」
生徒、ラブホのことをいじりだす。

○横浜駅
改札口の前の柱に宮後と照谷、寄りかかる。乗り換えで歩く人たち。
宮後「みんなは馬鹿にしているのだけれど、それ でもやっぱり尊敬するよね」
照谷うなづく。
宮後「このあと大学説明会にいくのでしょう?」照谷「一応そのつもりだけど」
宮後「まだ時間あるの?」
照谷うなづく。
宮後「じゃあもう少しだけ話そうか」
宮後、照谷、話続ける。
照谷「なんだか説明会にいくの面倒くさくなっち ゃった」
宮後「いかないとまずいんじゃない?」
照谷「いやいいよ」
宮後「ふーん」
宮後、帰ろうとする。
照谷「そっちは時間ある?」
宮後「うんいくらでも」
照谷「ちょっと寄りたいとこあるんだけど」
宮後「どこ?」
照谷「ホテル」
宮後「いいよ別に。一泊?」
照谷「そうだね。それがいい」
宮後「ちょっと待ってね、親に連絡するから」
宮後、携帯を取り出す。
宮後「私は今日は友達の家に止まるので、夜ご飯 と朝ご飯はいりません」

○横浜・街
宮後。照谷、ホテル探し。ラブホテルを発見
宮後「どうする」
宮後、照谷、また歩き出す。
宮後「その前に、ここよってみない?」
宮後、服屋を指さす。
照谷「いやーさすがにせまいんじゃないの? に おいもほかの客が気にするだろうし」
宮後「いやいや、試着室でセックスするのではな くて、君のための女性服を探そうかと」
照谷「ああ、だったら、こういうふつうの服じゃ なくてコスプレがいいな」
宮後、照谷、某ディスカウントショップに向かう。階段を上がる。
宮後「私もしたほうがいい? そういう趣味はな いのだけれど」
照谷「うーん、ならいいや」
宮後「おっこれは君が好きなアニメのもの」
照谷「そうだね、これでいいや」
宮後、照谷店を出る。ドラッグストアを見つける。「絶倫ゴールド」と「凄十」を買う。サラリーマンが使うホテルに入った。宮後、照谷、荷物を置く。ベッドにすわる。
照谷「さすがにここでやるのはまずいよね」
宮後「当たり前である」
照谷「前戯だけにしておいて、本番は風呂の中で やろうか。窮屈そうだけど」
宮後、携帯をコンセントにつなぐ。その携帯に小型スピーカーをセット。
宮後「見てみて、三P」
照谷、そちらを見る。
照谷「じゃあ着替えてくるね」
照谷、ユニットバスに向かう。
宮後「別に目の前で着がえてもいいのに」
照谷着替え。宮後、携帯で流す曲のリストを作成。宮後音楽を流した。宮後、照谷を押し倒す。
照谷「あっああ、やめて、わたしはまだ小学生な のに」
宮後、動かない。
照谷「小学生なのに」
宮後、照谷の乳首をさわる。
照谷「あぁだめ小学生なのに」
宮後「ほら、たってきたぞ、そんなに気持ちいい のかい?」
宮後さわり続ける。照谷、からだをくねらせる。宮後はアニメのマスコットキャラクターのポーチからコンドームとローションをとりだした。
宮後「どうやって使うのだろう」
アニメソングが二曲流れ終わる。照谷、変な音楽が流れたことを指摘。
照谷「何これ?」
宮後「ああ、しまった。アニソンと間違えてチョ ンコ節をいれてしまった」
宮後、照谷、前戯を終える。風呂に入ろうと、服を脱ぐ。照谷細く寸胴体系。
宮後「これでぬけるかなぁ?」
宮後、照谷、ローションを塗りあう。
宮後「はいはいちゃんと塗りますよ」
照谷「ねぇだっこして」
宮後「いいよ」
照谷、小さい子におしっこをさせるような姿勢でだっこをしてもらう。
宮後「体脂肪率三パーセントだっけ」
照谷「いや五パーセント」
宮後「そんなもの誤差でしょう。たぶんふともも と脳味噌にあつまっているのだね」
照谷「でも血管はふといんだよ」
宮後「うらやましい」
宮後、一度照谷をおろし、さっきのまま、床に寝かせたような姿勢をとらせる。宮後、照谷のおしりの穴を触る。抱き合う。陰部を突き合わせる。宮後、照谷、勃起。
宮後「ごめん、ちょっとトイレいっていい」
照谷、黙る。宮後、風呂からでて、カーテンを閉める。照谷、宮後が嘔吐をする音を聞く。宮後、風呂に戻る。
宮後「ねぇもうやめていい」
照谷うなづく。
宮後、照谷、シャワーでローションを洗い流す。
宮後「不甲斐ないね」
照谷「うん」
宮後「一人で帰る?」
照谷「いや、せっかくだし」
宮後「そう、じゃあ私もとまっていく」
宮後、照谷、抱き合って寝る。足をからませる。照谷、イビキ。宮後、子守歌。宮後、照谷の服の中に潜り込む。照谷の体を触る
照谷「何してんだ」
照谷、宮後の頭をたたく。
宮後「うすしお味」
宮後、服からでる。
宮後「気持ち悪くなってきたからうがいしてく  る」
照谷「さようなら」

○教室
生徒、アルバムのフリーページにメッセージをかきあう。なんこかのグループ。照谷は三人グループ。宮後は一人。照谷、宮後に近づく。
照谷「卒業アルバムのフリーページに何か書い  て」
宮後「誰?(と書く)」
式後、スライドショー。
宮後のN「あまりない思い出が浮かぶ」
先生、メッセージカードを渡す。宮後受け取る。
宮後「どれどれ」
宮後、メッセージを読む。
宮後のN「心が変わると態度が変わる。態度が変 わると行動が変わる。行動が変わると習慣が変 わる。習慣が変わると人格が変わる。人格が変 わると運命が変わる。運命が変わると人生が変 わる。皆さん、すばらしい人生を送ってくださ い! ですってさ」
宮後、メッセージカードを裏返す。
宮後のN「クールでポーカーフェイスの宮後。た まに見せるはにかんだ笑顔が素敵です。もっと 笑顔を」
宮後、カードをファイルにしまう。
宮後のN「これはきっとわたしがアルバムの写真 撮影なかなか笑顔がつくれず、みんなから笑顔 をがんばって、といわれたことへの当てこすり に間違いない」
宮後、照谷に近づく
宮後「ねえ、これ」
宮後、照谷に本を渡す。照谷、お礼。
宮後「読んだら感想聞かせてね。」

○宮後・家(夜)
宮後照谷にラインでメッセージ。
宮後のN「もう会えないのかな。せっかく親友になれたのに」
照谷、返信。
照谷のN「いやいや、時間があったらまた会おうよ」
宮後、返信。
宮後のN「なんだか雑な文章だね。そうやって気 楽にあおうよ。とか書かない方がいいよ。本当 に好きで好きでしょうがない、って人にだけそ ういうものを送るものだよ」
宮後、また送る。
宮後のN「最近精神科に通い始めたんだよね。こ れ以上人に迷惑かけたくないから」
宮後、メール。
宮後のN「でもさ君に今までかけてきた迷惑を図 書カード千円分で返すとなると何年間、かかる のだろうね? 応仁の乱?」
宮後、メール。
宮後のN「これからもなかよくしようね」
照谷、返信。
照谷「ちょっと疲れているんじゃない?」
照谷、宮後のメッセージのスクリーンショットを送る。宮後、返信。
宮後「友達にでも送って笑い者にでもするつも  り」

○同
宮後、同じクラスの人のツイッターを検索。アカウントをコピーし、あるサイトでフォロワー検索。そして照谷のツイッターを見つける。宮後、照谷のアカウントから裏アカウントを見つけだす。
宮後のN「どのアカウントにもあいつ面倒、とい う文はないな」
宮後、照谷のアカウントを確認。照谷、ツイッターで大学の友達探し。同じ学部学科の人をフォロー。
宮後、照谷にメール。
宮後のN「大学で友達できるか不安だな」
照谷のN「ツイッターでもやってみれば」
宮後のN「あんまり気がすすまないので。そうい えば本はもう読み終わった?」
照谷のN「いやまだ開いてすらいないよ」
宮後のN「知ってるよ。ツイッターに友達から借 りた本をはやくよまなくちゃ、ってつぶやいて いたからね。正確には頼まれてもいないのに貸 したんだけど」
宮後、照谷にメール。
宮後のN「あっそうだ、君の好きなバンドのメンバーが新聞広告にのっていたよ」
宮後、照谷に画像を送る。
宮後のN「はーあ、こんな常識のないやつに友達 なんてできるのかね」
照谷のN「今日は新宿御苑で写真部のあつまりが あったんだよ」
宮後のN「あら、そう。私はトイレでカレーを食 べたんだよ。そしたらね、となりからとても大 きなおならの音が聞こえてきてね、ほんと、こ っちがカレー食ってるのに、うんこするのやめ て欲しいよね」
照谷のN「食堂に一人で食べられるコーナーくら いあるでしょ」
宮後のN「うんあるけど」

○精神科
宮後、受付を済ます。番号札を渡される。
部屋ヒーリングミュージックが流れている。造花。宮後、番号が呼ばれたので、ドアをあけて入る。宮後、先生に、どういう症状があるのかを、箇条書きにしてまとめた紙を渡す。
宮後のN「電車に乗るとおなかが痛くなる。人混 みというよりは圧迫感が苦手。すわっていても 気持ち悪くなることがある。笑い声が聞こえる と、まるでわたしが馬鹿にされているように感 じてしまう。誰かに見られているような気がす る(特に姉からの視線をよく)人前でうまくし ゃべられない(緊張してしまう)
宮後A4用紙にびっちり埋めている。
先生「これは、わたしがあずかっていてもいいで すか」
宮後「いいですけど」
最初は軽い薬。その後エビリファイ。レクサプロと徐々に強く。先生、宮後に三割負担を一割負担にする制度がある、と教える。病名は言わず。宮後、薬局の会計でレクサプロの高さに驚く。
宮後のN「うーん、アルバイトをすればいいんだ けれど、応募の電話や面接に対応できるように 病気を治さなければいけないのがねぇ」
宮後、最初は各駅停車。次に急行に乗れるように。

○宮後・家・外
宮後駅に向かおう、とドアを開ける。先生、ランニング。筋肉質な体つき
宮後のN「そうでもないとやってられないのだろ うねえ」
先生と宮後、目があった。
宮後のN「通う精神科を変えよう」

○宮後・家
宮後、ほこりのかぶったスクールバックをゴミ袋につめる。掃除終わる。宮後、照谷にメール。
宮後のN「今月で都合のいい日ってある」
宮後送ったあと。
宮後のN「しまった、都合のいい悪いは感覚で決 められるものだ」
照谷のN「いやまだわからない」
宮後のN「テレビゲームのイベントがあるから一 緒にいきたいんだけど」
宮後、照谷にメール。この日は? この日ならどう? と何日かの予定。照谷、わからない。宮後、近くにあった卒業アルバムを投げつける。棚にあたる。
宮後のN「もういいです。あなたを誘うことは今 後一切ありません」
宮後、照谷に一週間あやまりメール。
宮後のN「ごめん。自分勝手だったよね」
照谷、宮後に返信。
照谷のN「この期間は電源切っていたから」
またメール。
照谷のN「自分で誘っておいて、怒り出すとかほ んとに自分勝手すぎ」
宮後のN「イベント開催期間中のすべての日の予 定をきいてやろうか」
宮後、照谷にメール。
宮後のN「ごめんね。でも君ってほんとうに優し いよね」
また送る。
宮後のN「精神科に通っているから、もうすぐふ つうの人になるよ。その先生もなかなかおもし ろいひとでね、就活が不安なんですよっていっ たら、まあそうですよねえ、って言ってね。そ れは別におもしろくないのだけれど、そのあと に、神保町の古本屋とか楽そうですよねえ、だ なんて言い出すから、こっちも無愛想でね、な んていったりして。まあ辛い仕事っていうのは 捉え方ですからね、って励ましてくれたりもし たし」
続ける。
宮後のN「照谷って本当にスタイルいいよね」
照谷のN「それ本当によく言われるのだけれど、 単に下痢でやせてるだけなんだよね」
宮後のN「よく言われるって何様だ、こいつ」
宮後、照谷にメール。
宮後のN「照谷とセックスしてー」
三回送る。
宮後のN「乳首コリコリしてー」
返信はなかなかこない。
照谷のN「気持ち悪いからやめてくれない」
宮後のN「きみって優しいのではなくて、冷たい のだよね。しかも周りにはイエスマンしかおか ないし。わたしがどれだけあんたにあわせてき たのかわかってるの。好きでもない本を読ませ れるし、悪口が嫌いなようだから、仕方がなく 自虐ネタに切り替えたり。本当は私のことが嫌 いなんでしょう。ずっと思っていたけど。私に あわせるのが面倒だから、予定がわからないと かいって、こっちには図書カード三千円にブッ クカバーに本にいろいろしてあげたのにさ、な んでわからないの? もういいです。絶交で  す。絶交。さっさと本返せ。どうせ読んでない のだろう。わたしに興味はないのだから」
照谷、すぐに返信。
照谷のN「はいわかりました、絶交しましょう、 絶交」
宮後のN「どうぞラインから私を消してくださ  い。あっそうだ本は返してもらうので、その日 にちだけ教えてください」
照谷のN「はいわかりました。明日の六時なら大 丈夫です。横浜駅の喫茶店前であいましょう。

○横浜駅
宮後、コンビニで飴と飲み物をかう。喫茶店の前で待つ。照谷、宮後に近づく。本を返す。宮後、誕生日プレゼントを渡そうとする
照谷「いやいや」
宮後、黙って帰る。

○家(夜)
宮後、蒲団で本を読む。恋愛ソングをかけた。目から涙、鼻から鼻水、尻から屁。宮後、携帯を開く。インターネット。宮後、照谷にメール。
宮後のN「ごめん。私が全部悪かったよね。だからさあ。もう一度友達にならない」
照谷のN「自分から絶交といったくせに、自分勝 手すぎ」
宮後のN「私ってやっぱりへんだよね。精神科も かってにやめちゃったしさ。でもこんなわたし にもやさしくしてくれたあなたって本当にたく ましいというかやさしいよね。もうわたしの連 絡先、消していいよ」
照谷、返信せず。

○大学
宮後、階段で二回へあがる。教室へ入る。後ろの席になんこかのグループ。宮後、前の席へ。宮後と同じゼミの友達もはいってきた。
宮後「へぇ君は千葉県出身なんだ。わたしは田園 都市線で」
友達「ああ、川崎ね」
宮後「そうだね、そういわれるといやな気分にな るけど」
友達、授業のプリントを鞄からだす。
宮後「きみの趣味は」
友達「楽器」
宮後「うんうんへー」
友達「バンドもやってるんだ」
宮後「へえバンド。いいねぇ」
宮後もかばんを開ける。
宮後「きみって意外とイケメンだねえ。赤く染め た髪が似合っているよ」
友達「きみだって髪型変えたらかっこよくなると 思うよ」
宮後「いやー私って運動音痴だから」
友達「そうなの?」
宮後「うん、高校で体力テストってあったでし  ょ」
友達「うん」
宮後「あれで下から四番目」
友達、携帯を見始める。
宮後「その髪って自分で染めたの?」
友達「いや美容院。きれいにそめたかったから  ね」
宮後「へえ」
二人とも黙る。
友達「ところできみっておしゃれな髪型だけど、 どこで切っているの?」
宮後「私はセルフカットだよ」
友達「うそ?上手だね。でもなんで」
宮後「中学生、高校生時代に病んでいた時期があ ってね、あっ今もそうなんだけど、それでね、 ほらリストカットってあるでしょ? あれを自 分の髪の毛でやっていたんだ」
友達心配そうな顔。
宮後「そしたらどんどんうまくなっていってね。 いまでは完全にセルフ」
友達、笑う。宮後も携帯を取り出す。携帯に宮後の顔がうつる。

○電車
窓硝子に宮後の顔がうつっている。電車、止まる。駅員、信号が動き次第発車します。宮後、本を読む。宮後のはす向かいにたっているお母さんが急に泣き出したあかちゃんをなだめる。
お母さん「お菓子? おもちゃ?」
それを見ている、ドアに寄りかかって立っている青年。
青年「母親失格だな」
周りに聞こえるように言う。
青年「少子化対策、少子化対策」
青年、ドアに向かって頭をがんがんとぶつける。なんどもなんども。
宮後のN「でもしょうがないじゃない。私だって なんで泣いているのかわからないのだから」
電車、動き出す。
宮後のN「間に合うかなぁ。新しい精神科にもい かなきゃならないのだし、大学の卒論もある  し、就活だってあるのだし」

2019年6月9日公開

© 2019 yohei

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