三〇代は何をしていたのだろう。
振り返りたくても、ドーナツの穴に手を伸ばしているみたいで、
何の手ごたえもない。
四〇代のはじめもそうだった。
でも、今は違うといえる。
それは、遊びに行くようになったから。
夜な夜な、音楽のイベントがあると出かけていくようになった。
情報を収集するために、インスタも始めた。
スマホ時間が増えて、嫁から「おっさんがニヤニヤしている」と指摘されるようにもなった。
遊びに行くきっかけは、二〇二五年二月一一日のリンキン・パーク来日公演だった。
さいたまスーパーアリーナで行われたこの公演で、奮発していちばん高い席を買った。
VIP GOLD席は88,000円。
席順も一列目で、すばらしい席だろうと胸を高鳴らせて会場についたら、
ステージの裏側の席で、おまけに真正面はステージの土台。
パフォーマンスを見るには、終始首を上げていなければならなかった。
それでもライブは最高で、ミスター・ハーンが所在なさげに
ステージ上でうろうろしている姿も見られて、プライスレスだった。
そのライブを見てから、音楽の楽しさを取り戻した。
もちろん、家ではいつも音楽を聴いてた。車に乗ってもそう。
一人でいると自作の変な歌を歌ったりもした。
それでも、ライブで体を思いのままに踊らせる感覚は別格だ。
音楽を聴いて、からだを何となく揺らしているだけで、幸福感が溢れてくる。
サウナに行く人が「整う」というのと同じ感覚なのかもしれない。
ぼくは、踊りに行って何かが「整う」感覚がある。
ジャンルなんて、なんでもいいじゃん。だって、どんな音楽だってすばらしい。
ロックも、レゲエもヒップホップも、ジャズも。すべてがすばらしい。
きっと、アイドルのライブに行っても、楽しめる自信がある。
だから、なんかつまんないなあ、と思っている人がいたら「踊りに行こー」といいたい。
ぼくは今日も、インスタでアーティストの告知をチェックしている。
で、一人で出かけていくのだ。知り合いなんていない。
少し前まで、一人の友だちさえいなかったのだから。
それでも、関係ないでしょ。
音を浴びて、ぴょんぴょんバッタみたいに踊るだけ。
それだけで幸せなんだから。
近所を探せば、タダで踊れるイベントだってある。「
コスパコスパ」いう人にもおすすめ。
だから、踊りに行こーよ。
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