メニュー

Lucidusk.lucid

arai

薄闇のふちで揺れる気配だけを拾いあげ、触れた途端に形を変える感覚へ。そっと沈むための入口

タグ: #散文詩

917文字

 
ぜんぶわすれたとあまやかすだけの 腕を組むことが あきれることで 口にするのが気恥ずかしいから 呼吸のはばで 匂いにさわる これからも 貴方も パラボラは寄りかかる格好で沈むのに 荒地はこどもだったから ふわりと浮いた
 
砂粒一つひとつが 押し返され ただいまと会釈しながら 凪が吹き抜け――つまりさみしい 誰も拾わない てのひらを弄んだ あすは 底抜けなことが 妬ましい
 
すこし考えて キーボードのギィにふさぐ つんのめるような わたしたち うすぐらいうちから 宙と果てをへだてる。またふみしだく。ざわめく丘と海が 指紋にむかって。顔を うでで 覆い あいらしく 馴染んで いく
 
涙嚢は付箋の和だけれど素形を保たなく翻る
それとも露点と交じるよう透き通った問いとして
緑藻が纒わる瀞の目深に、かたみの場所を譲り合う
 
ひかり かぜ きおん みず
 
脂っぽい指先と擦れあう葉巻はときに吸うのに 喉のおくで鳴る咳はしだいに抜け落ちていく、また変わった貌は 読みを持たないから とっさにむこうの灯台へ 空まで迎えにいって。路面電車とコバルトの口に詰めこむ
 
むんずりかき分ける。あからみどり 三葉虫 カタバミ
ふるいきばこは、いまを揺さぶっても 抵抗はありません
仕草だけを残し絡まる 名画のなかで死んでいる それきり
受け入れたかたい腕で 壇と段のあいまに立ち なにかを探す
 
青白い帆をえがいてスイッチは倒されている 繻子をはこびながら えぐられるとき。みえやしないのに ソワソワしていた ベルばかり手を伸ばし睫毛だけ光っていた やがてトーチは花をなぎ 口笛は抜かれていく
 
むかしとは すべてが 崩れる 強さがある
かきおきは聖典であり 太陽と雨とを掴む
うつわという気流に カノンは吠える
しわは祈りのしるしで 影絵と鏡面
 
ざむざのかわりにきみがかり 目を閉じ 撫でこんでいくこととして 手をかけるより 気にかける きのうとは もういつごろだろう てきとうに、昏いうちに土いじりして ぷいと横をむいた
 
すずめうりは いろづきはじめていた。歩調をあわせるよう 水位を経て たくさん芽生えたら まばたきは外で切られた 糸口を意識させる。そっと うかべられる れんげを傾けるからだ
 
珊瑚と蘚苔は ゆるやかに 疼くカーブを みせはじめる
しろい肌あいの こぶりのカップに しつらえたテーブルで
わたし、濡れた手で なにもしらずに いしをつんでいた

© 2026 arai ( 2026年2月1日公開
※初出 https://araireika.hatenablog.com/entry/2026/02/01/190542?_gl=1*q7dox5*_gcl_au*MTIzNDI4MzY3MS4xNzY5Njc0MTE2

読み終えたらレビューしてください

みんなの評価

0.0点(0件の評価)

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

  0
  0
  0
  0
  0
ログインするとレビュー感想をつけられるようになります。 ログインする

著者

この作者の他の作品

「Lucidusk.lucid」をリストに追加

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 あなたのアンソロジーとして共有したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

"Lucidusk.lucid"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る